25.少年の淡い恋心戻る

ダンクパーティーは無事に迷宮攻略を終え、現在はお疲れ様会兼コタロー達の歓迎会が行われていた。


「よう!コタロー!飲んで……はダメだな。食べてるか!?」


「はい!ちゃんといただいてます!」


「そうか!今日はお前らが主役なんだからな!しっかり食べてけよ!」


「はい。ありがとうございます」


「テリュカ」ではお酒は18歳からである。まだ15歳であるコタローにはお酒を飲むことができなかった。

コタローはこういう雰囲気の場には慣れてないので、笑顔が引きつってないか若干不安で仕方なかった。


「しっかし!あれだな!コタローは本当によく戦ってたな!」


「あぁ!新米であれだけ積極的戦えるなら大したもんだぜ!」


ダンクパーティーのメンバーは次々とコタローの戦いぶりを評価していた。コタローはそれを受けて恐縮しながらも


「いえ、僕なんてまだまだです……あの人に比べたら……」


「ん?あの人って誰の事だ?」


「はい!スタンピードクラッシャーのサヤさんです!!」


コタローは満面の笑みでそう答えた。その答えにダンクパーティーのメンバーのほとんどが固まった。唯一固まっていないのは、それを知るサリーとエリナと、あの場にいてなんとなくそれを察しているダンクだけである。


ダンクパーティーのメンバーはサヤの事をよく知っていた。と言うのも、サヤとは本当に一回だけとある依頼で一緒に行動する事になり、突然変異種の魔物を一緒に退治する形になったのだが、ほぼ……いや、もう完全にサヤ1人でその魔物を瞬殺したのである。

しかも、更に間の悪いというか、スタンピードまでも発生したのだが……


「ちょうど良かった。あの程度の魔物では娘の洋服代も稼げないと思っていたところだったわ」


と、言ってスタンピードをあっさりと潰していったのである。

なんというか……コタローには悪いとは思うが、ダンクパーティーのメンバー全員の意見が、サヤみたいになるのは無理だろうである。


「はぁ〜……けど、サヤさんみたいな人をお嫁さんに貰えるなんて、旦那さんは幸せ者だなぁ〜……」


まだまだ失恋の傷が癒えないコタローはそう漏らしてしまう。


「ん?何言ってんだ?サヤは未婚だぞ」


「えっ?でも……娘さんがいるって……」


「あぁ、知らないのか。その娘ってのはな……」


ダンクパーティーのメンバーの1人がコタローにサヤの娘について説明を始める。ダンクはそれを慌てて止めに入ろうとしたが、少しだけ判断が遅かった。コタローは説明を受け、サヤへの憧れを上昇させ、サヤへの淡い恋心を復活させた。

そんなコタローの様子を見てダンクは軽く溜息をつく。恋をするのが悪いとダンクは思わないが、相手が相手である。正直応援してやるべきか悩ましいところだ。

まぁ、もうこなったら流れに身を任せてみようと諦めの境地に達したダンクであった。

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