26.双子エルフ姉妹に忍び寄る影

新居を手に入れてから数日が経過した。新居を手に入れたからと言って今までとは生活が変わる訳でもなく、サヤには次なる依頼がきていた。

ここより少し離れた場所で、ユニークモンスターの魔物が現れたので退治してほしいという依頼だ。普通の冒険者なら2、3日はかかる依頼なのだが……


「では、私はいつも通り夕飯までには帰ってきますので」


サヤにとっては夕飯までには帰ってこられる程度の依頼だった。


「うん。分かった。お母さん気をつけてね!」


「夕飯はお母さんお手製のハンバーグがいい」


最早いつもの事なので笑顔でサヤを送るラナに、ちゃっかり夕飯のリクエストをするシア。


「えぇ。あなた達も気をつけて学校に行くんですよ。知らない人には絶対についていかないように!いいですね!」


『は〜い!!分かりましたぁ!!』


サヤのいつものセリフに2人は元気よく返事を返す。サヤは自分がやっかみを受けてるのは重々承知しているので、2人への警告は怠らないようにしていた。


「よろしい。では、夕ご飯はシアのリクエスト通りにハンバーグにしましょう」


「やった」


シアは小さくガッツポーズをする。そんな姿を微笑ましく見つめるサヤ。ずっと見つめていたいが、そういう訳にもいかない。とりあえず、依頼を速攻で片付けてハンバーグの材料を買いに行こうとサヤは考えて、ユニークモンスターが現れたという場所に向かった。



そして、サヤを見送って数分後、ラナとシアも学校に行く為にいつもの通学路を歩いていると


「すいません?ちょっといいでしょうか?」


ラナとシアに見知らぬ少年が声をかけてきた。その少年はすごく困った顔で


「すいません……道が分からなくなってしまって……この場所に行きたいんですが……?」


少年はラナとシアに手書きで書かれた地図を渡してきた。手書きとは言え、2人でも分かる簡単な地図だった。


「ねぇ、シア。どうしようか?」


ラナはお姉さんぶってはいるが、若干困った事があれば、サヤがいない時はすぐに誰かに相談してしまう癖があった。まぁ、サヤ曰くそこがたまらなく愛らしいのだが……


「ん、お母さんは困った人を助ける冒険者。だから、私は困ってる人を助けたい」


シアは冒険者で困ってる人を助けているサヤに憧れていた。まぁ、それはラナも同じであるが、シアはその気持ちは特に強かった。これを聞いたサヤは一晩悶絶していたという。


「そうだね!困った人を助けるのは当たり前だよね!」


「ん、その通り」


結局、2人は困ってるその少年を助けることにした。その少年は「ありがとうございます」と2人にお礼を言ったが、その口角はつり上がっていた……




「あの……本当にこの地図合ってますか……?」


2人が地図に従いやって来た場所。そこは、人気のない路地裏だった。


「えぇ、大丈夫ですよ。合ってます」


少年のその言葉を最後に、2人の視界は急に暗転した……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます