24.男は顔じゃない
所変わって、ダンクのパーティーは現在一つの迷宮攻略に勤しんでいた。その中でも、新人のコタローは必死に前に出て活躍していた。
「これで……!どうだぁ〜……!!」
コタローの剣が魔物に致命的な一撃を与え、見事に魔物を撃退する。コタローはその瞬間「よしっ!」と言ってガッツポーズする。
「やっな!コタロー!お前の勝利だぜ!」
「ありがとうございます!先輩達があの魔物を弱めてくれたおかげです!」
「謙遜すんなよ!お前の実力さ!誇れ!誇れ!」
ダンクパーティーの冒険者達がコタローを囲い、コタローの事を賞賛する。その様子をダンクは離れた所から見ていた。
「リーダーの連れてきた新人。なかなかいい働きをしますね」
そう言ってダンクの横に立ったのは、メガネをかけた知的秘書風な美人。マリエ・ウェイパー。職業は魔導師で、種族は人間である。
「ニャハハハ!流石はリーダーニャ!リーダーの目利きは確かだニャ!」
そう言ってマリエとは反対側なダンクの横に立ったのは、キリエ・ファナスタ。職業は武道家で、種族は猫族の獣人である。
ダンクのパーティーは、ダンクが牛族の獣人である事から半分獣人。半分人間と言った構成のパーティーである。
「目標とする人物がいるらしい。その為に頑張ってるようだ」
ダンクは2人に簡潔にそう述べた。
「私達も負けてられないね。なんせ、私達の本当のライバルはめちゃくちゃ高い壁だし」
「そうですね」
「けど、まずは目先のライバルから倒さないとね。負けないよ。サリー」
「私もです。今度は一歩を引くつもりはないですから。だから……コタロー君!今回復に行きますね!」
「ちょっ!?そういうポイント稼ぎはズルいしょ!!?」
今度はサリーとエリナがコタローを囲んでワイワイし出す。そんな3人を見てダンク冒険者の男性陣は
「チキショウ!?何でだ!?何でコタローばかりモテるんだ!?俺らだって活躍したのに!!?」
「コタローって何処にでもいそうな地味そうな少年なのになぁ〜……」
「男は顔じゃないって事だろう」
「じゃあ何で俺達はモテないんだぁ〜!!?」
と、モテない男性陣はそう嘆いていた。そんな男性陣を無視して、キリエがコタロー達を見てニヤニヤと笑い出す。
「ニャハハハ!あそこはだいぶ盛り上がってるニャ!私も参戦しようかニャ!」
「やめろ。これ以上事態をややこしくするな」
「ニャハ!リーダーってば嫉妬かニャ!?」
「俺は出来るだけパーティー内で揉め事を起こしてほしくないだけだ」
ダンクは軽く溜息をついてそう言った。すると、今度はマリエがキリエを睨みつけ
「そうですよ。キリエ。リーダーは風紀が乱れるのを嫌ってるんですから、少しは自重なさい」
「ニャハ!相変わらずマリエは固いニャ〜……そんなに固いと…………リーダーにその気持ちを気づいてもらえないニャよ?」
「んなぁ!!?」
キリエに耳打ちで言われた一言に、マリエは耳まで真っ赤にして驚く。
「ニャハ!気づいてないと思ったニャ?気づかないのは鈍感なリーダーだけニャ」
そう言ってキリエはケラケラ笑う。しかし、マリエもお返しとばかりにキリエに耳打ちをする。
「あなたも…………そうやって嫉妬心を煽るような遠回しなやり方ではリーダーの心は掴めませんよ?」
「ンニャあ!!?」
今度はキリエが耳まで真っ赤になった。
「私が気づいてないと思ったんですか?それこそ、気づいてないのは鈍感なリーダーだけですよ」
マリエは嘆息してそう言った。
そして、そのやりとりをずっと見ていたモテない男性陣達は……
「くそう!?何でミノさんばっかりうちのパーティーの綺麗どころ2人を独占するんだ!!?」
「ミノさんは牛族の獣人もあるとは言え、魔物のミノタウロスにそっくりなのになぁ〜……」
「男は顔じゃないって事だろう」
「だから何で俺達はモテないんだよぉ〜!!?」
ダンクのパーティーは今日もこんな感じで愉快に迷宮を攻略していくのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます