32.変われる
30分後……グラニフはついに気絶した。が、どこも怪我していなければ死んでもいない。殺す勢いで殴っていたが、本気で殺しはしない。殺せば流石に犯罪者になってしまい、2人と引き離される。それだけはサヤは避けたかった。故に、サヤはグラニフに完全回復出来る魔法をかけていたのだから。
そして、サヤは今度はスバルに目を向ける。スバルは怯えてへたり込んでしまう。先程のグラニフの光景を見せつけられたのだ。だから、次は自分の番だと思った。
「その目に焼きつけた?コレがあなたの将来よ」
サヤはグラニフを指差してそう言った。サヤのその言葉で、スバルはやはり自分の番だと恐怖で身体が震える。
「このままだとあなたはあぁなってしまうわ。けど、あなたはまだ間に合うわ」
サヤはスバルにそう言い放つ。その言葉に、スバルは驚愕の表情を浮かべる。
「あなたはまだ変われるわ。あなたは本当はどうなりたいの?」
そのサヤの問いに……スバルが思い出したのはコタロー達で4人で初めてパーティーを組んだ時だ。
「俺は!絶対有名な冒険者になるぞ!そして!お前達と一緒に世界一の冒険者パーティーになるんだ!!」
スバルはそうコタロー達に宣言したのだ。本当にそうなるのだと信じて……けど、いつの間にか、自分が一番活躍し、女性陣2人からの好意を向けられるようになり、スバルはいつのまにか傲慢な人間になってしまった……
「うぅ……!?あぁ……!?俺は……!?俺はぁ〜……!!?」
スバルはボロボロと涙を流す。それは、自分の中にある醜さを流し出すようにボロボロと溢れ出していく。
「大丈夫よ。あなたはまだ変われるわ」
「もう遅い……!?俺は……!?俺は……!!?」
「……私はゴミ屑の役立たずと言われ続けたのよ」
「えっ……!?」
スバルはすぐにはサヤの言葉が信じられなかった。先程の強烈な戦闘能力を見せつけられたら信じられないのも無理ない。
「けど、そんな私も変われたわ。あの娘達に出会えてね。だから、あなたも変われるわ。だって、私が変わったのもあなたと同じ15歳だもの」
「えっ?同じ15歳って?」
スバルは未だにサヤを自分より2つぐらい歳上としか思ってなかった。それだけサヤの見た目は10代少女と間違えても仕方ない容姿をしていた。
というのも、実はサヤが獲得しているユニークスキル『マザー』にはこんな効果もあった。
『マザー』:子供または子供のように思ってる子が異種族だった場合、その異種族の特徴を得る。
故に、サヤはエルフの特徴を得ていた。流石にエルフ耳まで得なかったが、見た目が麗しいのが多いのと、不老長寿を得ているのだが、サヤはその事を確認していないので、その事に気づくのに更に数年後になるがそれはまた別の話……
最後に、サヤはデコピン一発でスバルを気絶させた。
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