19.弟子入りの理由
とりあえず、サヤはラナ達の了承を得てコタローを家にあげて事情を聞く事にした。コタローは自分より年下の女の子達が沢山いるのに若干戸惑いながらも、サヤに促されて弟子入りしたい理由を話した。
「なるほど……「武闘祭」の新人戦に参加する事になったのですか」
「はい……そうなんです……」
「武闘祭」は、サヤのような例外を除いて、やはりまだ若手の新人が優勝を狙う事が出来ないなどの意見が多く寄せられてきた。
そこで、エイーダは数年前に15歳から18歳未満の年齢の者が参加出来る新人戦を開催したのである。ベテラン勢のような派手だったり匠な戦い方はないものの、将来有望な若手をパーティーにスカウト出来るとある意味で人気の試合だったりする。
「しかも、参加が自分からではなくダンクの推薦ですか……」
新人戦への参加は自ら志願する以外にも、パーティーのリーダーが推薦して参加させる事もある。しかも、ダンクは数年前に3年連続優勝を果たして殿堂入りした「武闘祭」の王者である。まぁ、ダンク本人に言わせるなら
「サヤが参加してないからこそ出来たようなものだがな……」
と、苦笑を浮かべながらそうもらしていた。
で、その「武闘祭」の王者と呼ばれているダンクからの推薦となると、コタローにかなりの注目の目が集まってきている。コタローがプレッシャーに感じるのも無理からぬ話ではある。
「ダンクさんは気にしなくてい。お前のベストを尽くせばそれでいいと言ってくれましたけど……路頭に迷う寸前だった僕達を拾ってくれて育ててくれたダンクさんの期待を裏切りたくないんです……」
コタローはダンクには本当に感謝している。かつてのパーティーがバラバラになるような出来事が起こり、もしかしたらもう冒険者として活動出来なくなるんじゃないかと思っていた時に、ダンクがサリーやエリナと一緒に自分達をパーティーに入れてくれたのである。コタローはあの時の恩を少しでも返したいと願っていた。
もちろん。先程のが1番の大きな理由だが、心の片隅では、憧れで淡い恋心を抱いている相手にお近づきになりたいという下心もほんの少しあった。そして、そんなコタローのほんの少しの下心を見透かしてるのか、ラナとシアはジト目でコタローを睨んでいた。
が、肝心のサヤの回答は……
「分かりました。引き受けます」
『えっ!!?』
コタローとラナとシアは同時に驚きの声をあげた。
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