18.魔法拘束鎖

邪魔者がいなくなった所でサヤはもう一度2人の方を振り向き


「さて……せっかくですからハンデをあげます。私はしばらく無抵抗でいますのでどうぞ好きなように攻撃してください」


と、2人にそう言い放った。このサヤの発言に2人共怒りの感情が湧き上がった。


「その言葉……後悔するなよ」


しかし、それでも2人組の1人はまだ冷静さを保っていた。下手に挑発に乗らず、いつものように冒険者を捕まえる魔法を唱えた。


「全てを捕らえて!!縛れよ!!魔法拘束鎖!!!」


数分の詠唱が終わると、サヤの周りの地面から鎖のような物が飛び出して、サヤの両腕や両脚を拘束する。


「ふん。それはただの鎖ではないぞ。地の精霊の力が合わさった魔法の鎖だ。どれだけ抵抗しようと無意味だぞ」


彼が使用した「魔法拘束鎖」は、文字通り魔法で作られた鎖である。しかも、彼はその鎖に地の精霊の力を込めている。その為、大地が拘束した者の力を吸収するので、鎖に捕らわれた瞬間、抵抗出来ずに拘束されてしまうのだ。


そもそも、「マリステル」の暗部の人間が何故これ程の魔法が使用出来るのか?それは、彼らも元々はどこかの冒険者パーティーに所属していたが、力が弱く追放された者の集まりが暗部に所属している。

故に、彼らは冒険者というのを敵視している。自分たをゴミのように捨てる冒険者達を。その執念から生み出された一つが「魔法拘束鎖」である。これで、憎い冒険者達を次々と拘束し、自分達を苦々しい表情で睨む姿を見て、彼は優越感に浸っていた。

そして、今回もかなりの美女であるサヤの苦々しい表情を見て優越感に浸ろうと思っていたのだが……


「………………」


彼女の表情は無だった。特に何も感じてないので言葉すら発していない。普段の力が出せなくなって何も言えなくなったのか?と彼は思ったが、次の瞬間……


バキンッ!!!!


「なっ!?そんな!?バカな!!?」


サヤを拘束していた「魔法拘束鎖」が突然、粉々に砕け散った。

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