26.引き篭もるエイーダ
サヤが全ての仕置きを終えたその頃、ここ、「テリュカ」の王城の一角ではちょっとした騒ぎが起きていた。
「嫌じゃ!!ワシは絶対にこの部屋から出んからなッ!!!」
「テリュカ」の国王であるエイーダが、自分の私室に強力な結界を張って引き篭もったのである。クロコからの報告を受け、エイーダは防衛の為に私室に引きこもったのである。竜人の、しかも王として選ばれる程の力を持った者が張った結界だ。普通の騎士では無理矢理扉を開ける事も出来ない。
「陛下。いい加減諦めて出てきてください」
エイーダの側近であるクリステアが溜息混じりで扉をノックしながらそう言うが、エイーダが部屋から出てくる気配はない。エイーダの側近であるクリステアも当然ながらそこらの騎士より強い力を持ってはいるが、流石にエイーダの張った結界を破る事は出来ないのだ。
「そもそも、アルテミス様に言われたはずなのに、早くサヤさんに言わなかった陛下が悪いんじゃないですか」
「うぐっ!!?」
クリステアに痛いところを突かれ、思わずエイーダは言葉に詰まる。
「それで、何故サヤさんに言うのを忘れていたんですか?」
「いや!?それはお主が大量の仕事をワシに押しつけるから……」
「あれだけ仕事が溜まったのは陛下が仕事をサボったのが原因でしょ」
「うぐっ!!?」
再び痛いところを突かれて言葉を詰まらせるエイーダ。クリステアの目が若干鋭くなる。が、とりあえずは出てきてもらわない事には何も進まない。
「とりあえず、部屋から出てきてください。陛下。私も一緒にサヤさんに謝罪してあげますから」
「うぅ……」
エイーダがようやく観念したような気配を感じ、これでようやく部屋から出てくれるとホッと安堵するクリステア。が、その時だった……
「ぴぎゃあぁぁぁぁぁ〜ーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!?」
「陛下!?どうされました!?陛下!!?」
部屋の中からエイーダの叫びが聞こえ、クリステアが扉をドンドンと叩いてそう叫ぶ。あの叫び方はただ事ではないと思ったクリステアは、何とかしてでも結界を破ろうと判断した次の瞬間……
「ごめんなさい。断りもなく入らせてもらうわね」
エイーダの私室の扉が開き、中からサヤと、何故の鎖のような物でグルグルに拘束されたエイーダが、サヤに担がれていた。
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