44.あれから1週間が経過して……

グラニフ達の裁判が行われてからちょうど1週間が経過した。グラニフの仲間達は無職になり、今必死で職探しをしているらしいが、当然だが難航している。

グラニフの方は裁判が終わった後、すぐに身ひとつで国から追い出されたようである。その後、彼が武具も金もなく他の国にたどり着いたかは誰にも分からない……


そして……グラニフの誘いに乗って利用させられたスバルはと言えば……


「お〜い!!新入り!早く出発準備急げよ!!」


「はい!!すぐに!!」


スバルはダンクパーティーの雑用係として日々を忙しく働いていた。



というのもあの裁判の時……



コタローからの言葉を聞いたスバルは特に騒ぐ事なく全てを受け入れていた。それだけの罪を自分は犯したという自覚は彼にもちゃんとあった。だから、大人しく国からの裁きを受け入れようと思っていたのだが……


「けれど……僕は……あの時4人でパーティーを結成した時の気持ちまで嘘にしたくない」


コタローの言葉に驚き目を見開くスバル。そんなスバルにコタローは真剣な表情で


「だから……スバル……もう一度僕らに君を信じさせてほしい……そして……出来ればまた前のようにやっていけたらなって思ってるよ」


コタローのその言葉に、溢れる涙を抑えられず、その場に泣き崩れるスバル。


「さて。結論は出たようじゃの。では、判決を申し渡す!」


エイーダの言葉に辺りはシンと静かになる。スバル未だに泣き崩れているが、エイーダは構わず続ける。


「例え、3人が許したとしても、お前がやった事は立派な犯罪故にしっかり裁かねばならん!新米冒険者スバル!お前にはダンクパーティーの雑用係をやってもらうぞ!期間はコタロー達3人がお前を信頼できるようになるまでじゃ!よいな!?」


エイーダの判決にスバルは涙を流しながらも、しっかりと「はい……!」と言って頷いたのだった。




そして、そんなスバルの姿を遠目でサヤ達親子は見つめていた。


「あの人本当に頑張ってるねぇ〜!」


「うん。ちゃんと立派にやり直してほしい」


自分を攫った人物にそんなコメントをするラナとシア。一応、彼がラナとシアを攫ったという事はサヤもきちんと説明したのだが……


「う〜ん……そう言われても眠らされただけだし……」


「起きたらいつも通りお母さんがいたからあんまり攫われたって実感がない」


と言ったのである。そんな2人の娘のコメントに、随分と達観してるわね。一体誰に似たのかしら?と思うサヤであった。

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