15.Bランク冒険者ダンク・リュセッル
コロナ達の会話に入ってきたのは、「テリュカ」所属のBランク冒険者ダンク・リュセッルだった。彼は、すでに「テリュカ」の迷宮をいくつか攻略している超有名冒険者である。故に、そんな人からの突然の勧誘に驚くコタロー達。
「あれ?ミノさん。彼らを勧誘するなんて何かあったんですか?」
「だからそのミノさんはやめろと何度も言ってるだろう。まぁ、アレだ。ミルナが身篭ったらしくてな。それで、カルスも一緒に冒険者を引退する事になって、若干人手が不足していたんだ」
「あぁ、そういえばそんな届け出がありましたね」
今思い出したようにそう呟くコロナ。
「何?ミルナ妊娠してカルスと一緒に冒険者引退するの?」
ここで、サヤは初めて口を開いた。サヤも、ダンクとはそれなりの面識があり、ダンクのパーティーであったカルスとミルナの有名バカップルについてはよく知っていた。
「あぁ、流石に子供が出来るのに危険を伴う冒険者稼業はやれないだそうだ」
「そう……」
「何だ?人の事をお前が根掘り葉掘り聞くなんて珍しいな……」
「別に。同じ子を持つ身としてはそういう選択肢を取るのも分かるなって思っただけよ。まぁ、私の場合は不器用な女だから冒険者しかやれないんだけど……」
サヤは自嘲気味に笑ってそう言った。しかし、コロナとダンクはサヤの言った「不器用」に思わず反応してしまった。戦闘だけでなく、家事の全てをこなせる彼女が不器用とはとても思えなかった。
しかし、別の意味でサヤの言葉に衝撃を受けている者がいた。
「えっ!?サヤさんは子供がいるんですか!!?」
「えぇ。可愛い双子の娘が2人ね!」
娘の話になり、とびっきりの笑顔になって言うサヤ。だが、その笑みは逆にコタローに失恋を味あわせるものでしかなかった。まぁ、当然だが、子供がいる=相手がいると思ったのだ。
コタローはガックリと肩を落とす。そんなコタローを見て、安堵してはダメだと思いつつも、安堵の溜息をつくサリーとエリナ。それを「青春ね〜」と他人事のように見つめるコロナ。これで、コタローの真実を話したどうなるのかと思ったが、ギルド職員のプロ根性でなんとか押し黙るコロナ。
「それで、どうする?俺は特にお前が気に入った」
「えっ!?僕ですか!!?」
「あぁ、仲間の為に言ったお前の言葉。胸に沁みたよ。俺はお前を一人前の冒険者にしたいと思ったがどうする?」
ダンクの問いに、コタローは少し迷ったが、サヤへの恋心は打ち破られたが、サヤが憧れであるのは変わらない。ならば、憧れの人に近づけるように頑張ろうと思ったコタローは、ダンクのパーティーに加入する決意をした。そして、コタローが入るならばと、サリーとエリナも同時に加入した。
こうして、新米冒険者3人は、超有名冒険者のパーティーに加入したのだった。
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