2.まさかの再会
サヤはもう2度と会うことはないと思っていた剣の師との再会に、父親に会った時よりも動揺しているが、すぐに顔を引き締めて挨拶をする。
「先生。お久しぶりです。まさか先生が「テリュカ」に来ているとは……驚きました」
「まぁ……な……実はとある要人の護衛を依頼されてな……」
「要人の……?それは……?」
サヤは先程からマグナスの隣にいたチャラい感じがする男性に視線を移す。すると、その男性はニィと本当にチャラそうな笑みを浮かべ
「初めまして。いや、一応はマグナスを通じて2、3回ぐらいは会った事があるんだが、まともに会話したのはこれが初めてだな。俺の名前はクロード。一応、「マリステル」の第三王子をやってるよ」
「マリステル」の第三王子と聞いた瞬間、サヤはすぐに身構えて、射殺さんばかりの視線をクロードに向ける。クロードはそれを受けて慌てた様子で両腕を上げて
「待て!?待ってくれ!?俺は一応王子って肩書きだが、王位継承権はないし、あんたの娘ちゃん達については反対してる派だ!信じろってのは無理かもしれんが信じちゃくれないか!?」
必死に弁明するクロードだが、サヤは未だにその警戒を解くような事をしない。クロードが困った表情を浮かべる。が、この場をおさめたのは、この問題については第三者であるマグナスだった。
「サヤ。クロードとお前の間に何があったか俺は知らない。だが、俺はこいつとは昔からの知り合いで、こんな見た目だが悪い事をするような奴じゃない。俺がこんな事を言う資格はないかもしれないが、まだ俺を師と慕ってくれるなら、俺の言葉を信じてくれないだろうか?」
マグナスの言葉に、サヤはしばらくはクロードの事を警戒し続けていたが、すぐにその警戒を解いた。
「分かりました。まだ彼を信用は出来ませんが、先生の言葉を信用します」
サヤがようやく警戒を解いてくれて、クロードはホッと安堵の溜息をつく。
「サヤ。どこかで話せないだろうか?その……俺がこう言うのは烏滸がましいかもしれないが、お前の近状はずっと気になっていたんだ……」
サヤはそんなマグナスの言葉を聞いて、相変わらず真面目過ぎる人だなと思わずクスリと笑みを浮かべてしまう。そのサヤの表情を見て、マグナスもクロードも思わずドキッとしてしまう。
「分かりました。ただ、その……実は私には娘がいまして……」
「あぁ、それは一応こいつから聞いている」
マグナスがクロードを指差してそう言った。
「ですので、娘達に連絡しても大丈夫でしょうか?娘達もいつも行く喫茶店と言えば場所は分かるはずですから」
「もちろんだ。構わないよ」
マグナスの了承を得て、サヤはすぐに愛娘達に連絡を入れる。数分後、連絡を終えたサヤはマグナス達を案内するように行きつけの喫茶店に向かった。
ただ、クロードだけはどこか心配そうな表情を浮かべていた……
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