13.予想通りの結果

サヤに殴りかかろうと向かってくるスバル。が、サヤはあえて動かない。武器を構えるそぶりや防御すらせずに仁王立ちしている。その態度が余計に腹が立ったスバルは思いっきりサヤを殴るが


ガンッ!!!!?


「ッ!!?〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!?」


まるで硬い硬い鋼鉄を殴ったような感覚を味わい、逆に殴った手を痛め、その痛みのせいで声にならない叫びを上げ、のたうちまわるスバル。それを冷めた瞳で見つめるサヤ。


「お前……!?一体何を……!!?」


ようやくスバルが出した声はサヤへの問いかけだった。


「別に。何もしてないわよ」


サヤはあっけらかんとそう言い放つ。事実として、サヤは本当に何もしていない。得意の上昇魔法で自分の防御力を上げてないし、下降魔法でスバルの攻撃力を下げてもいない。ただ、純粋にスバルの攻撃力と、サヤの防御力に差がありすぎた結果だ。


「んな訳あるかよ!?何かしたに決まってる!?そうじゃなかったら!!?」


スバルはこの年代の冒険者では高い攻撃力と魔力を有した「魔剣士」である。そんな自分が、それなり有名とは言え、女冒険者一人に圧倒的に負けるはずがないと……


しかし、スバルはまだ分かっていない。サヤはそれなりに有名ではなく、「スタンピードクラッシャー」と呼ばれるほどの凄腕冒険者である事を……


「で、結局あなたはどっちを選ぶの?金貨50枚をちゃんと稼いでくるか、冒険者証剥奪されて永遠無職になるか」


「ぐっ……!?くそう……!!?」


やけっぱちになったスバルが痛めてない手で今度こそサヤを殴ろうとする。が、サヤはそれをあっさりかわしてスバルの腹部に拳を叩きこむ。


「ぐばぁ……!!?」


スバルは苦悶の声をあげてその場に倒れる。自分達より断然強かったスバルが赤子を相手にするかのようにいなされてしまう姿を見て、呆然としてしまう新米冒険者3人。


「で、コレはどうするの?」


サヤは冷ややかな眼差しでスバルを指差してコロナに問う。


「う〜ん……永遠無職の道にしてもいいんですが、それだとこちらもあの子達も潤いませんし、とりあえず、金貨50枚稼ぐ罰という事で。彼を外に放り出しておいてください。どうせ、治癒はしてるんですよね?」


「当然でしょ。慰謝料請求なんてされたくないもの」


サヤはスバルを殴った瞬間に、殴った衝撃で折れた骨や内臓へのダメージを治癒魔法で一瞬に回復させたのだ。治していないのは気絶だけである。


サヤはコロナの許可を得たので、スバルの首根っこを掴んで、ギルドを出てすぐの所に放り投げた。

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