22.サヤの不遇な過去

しかし、木材が簡単に手に入ったのは分かったが、3日でこんな立派な家が建てられるのも驚きである。


「まさかとは思うが、この家は全部お前が建てたのか?」


ディアスがそう聞くと、サヤは首を横に振った。


「まさか。流石にお風呂や台所までは私にも無理です。そこは知り合いのドワーフに頼んで作っていただきました」


つまり、それ以外の物は全てサヤお手製という事である。しかも、それを3日でこんな立派な仕上がりに……


「あの……サヤさんはもしかして大工経験がおありなんでしょうか?」


そんな事はないだろうなと思いつつも、コロナはサヤにそう聞かずにはいられなかった。


「いえ。流石に大工の経験はありません。ですが……」


そこから先に続くサヤの言葉は…………あまりの衝撃的告白だった……


「父親がよく酔っ払って暴れて壁を壊すので、「修理しとけ!」と言われ、壁に穴があったら私的にも色々困るので色々苦労しながら修復しました。あぁ、そういえば天井の雨漏りも直せと言われて、屋根そのものがダメになっていたので、屋根を作り替えたりもしましたね。後は、勇者パーティーに所属していた時も、あの勇者が暴れて壊した物は大抵私が修理してましたね。最悪だったのは、怒ってお店の机や椅子を大半木っ端微塵にした事ですね。アレのせいで、修復は不可能だったので、一つ一つ作り直すハメになりましたね」


サヤは自分の身に起きた出来事を淡々と語る。そのあまりにも衝撃的過ぎる内容にこの場にいる全員が固まってしまった。ラナとシアも、サヤが不遇な目にあっていたのは間接的に聞いた事はあるが、ここまで酷かったとは思わなかったのである。


「サヤちゃん!いつでも私達を頼ってもいいのよ!?」


「あぁ、そうだな。俺達の宿屋を自分の家だと思ってくれて構わない」


「サヤさん!私もギルド職員としてしっかりバックアップしますからね!」


「はぁ……どうも……ありがとう……?」


アロマ・ディアス・コロナにそう言われ、若干戸惑ってしまうサヤ。

サヤはもうすでに、過去は過去だと割り切っている為、過去自分がどれだけ不遇な扱いを受けてきたかなんて最早気にしていなかった。娘達過ごせる今があればサヤにはそれで良かった。


「お母さん!お母さんには私達がいるからね!」


「ずっと一生一緒だよ!」


ラナとシアのこの言葉にサヤは感動して2人をギュッと抱きしめるサヤ。結局、サヤにとっては娘達2人の言葉が何よりの特効薬だった。


「あんな扱いを受けて何故サヤは善人でいられるのか……やはり人間が1番不思議な生き物です……」


この会話に唯一参加していないアルテミスが首を傾げてそう呟いた。





「ところで、お母さんは何で捻りハチマキしてるの?」


「コレですか?「初めての大工入門」にまずは格好からと書いてあったので。残念ながら大工の衣装は用意出来なかったので、捻りハチマキだけでもと思いつけました」


「お母さん。多分だけど、それは全く関係ないと思う」

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