10.ラナとシアの告白事情
「しっかし、今日もやっぱり告白した奴はあっけなく散ったなぁ〜!」
マルシアがケラケラと笑いながらそう言った。あの後、男子生徒はその男子生徒の友人に預けて、ラナとシアはマルシア達と一緒に帰る事にしたのである。
「あそこで散れただけまだマシ。サヤさんに間近で会うよりは」
カリンの呟くようにそう言った言葉に、マルシアとリコは「確かに」と言って頷いた。
ラナとシアを溺愛し過ぎているサヤ。一度、ラナとシアに気があった男子が、2人の誕生日会に呼ばれた時、サヤにひと睨みさせられただけど、泡を吹いて気絶したのは伝説的に有名な話である。それ以来、ラナとシアに告白する男子生徒の数は大幅に減少したはずなのだが……
「それでもまだあんな勇者がいたとはなぁ〜」
「サヤさんに内緒で付き合えばいいって思ったんしょ」
「絶対に無駄なのに」
サヤは冒険者をやっている為、情報収集能力はズバ抜けている。サヤに隠れて付き合うなど到底不可能である。
「ってかさ〜!今日はラナっちが告白されてたけどさ!やっぱラナっちの方が告白されるのが多い感じ?」
リコの質問にラナは顎に手をあてて「う〜ん」と言って考える仕草をし
「同じぐらいじゃないかな?昨日はシアが告白を受けてたしね?」
「ん。まぁ、お母さんより強かったら付き合うって言ったら撃沈したけど」
「うん。まぁ、そりゃあ100%不可能だからな」
シアの言葉にマルシアは苦笑を浮かべてそう言った。
「けどさ!けどさ!ラナっちもシアっちも!せっかくモテるんだからさ!誰かとお試しで付き合ってみようとか考えないの?」
恋愛トークがよっぽど大好きなリコがそう尋ねるが、2人の回答は……
「う〜ん……やっぱりお母さんみたいに強くて、優しくて、何でも出来ちゃう子がいないからなぁ〜……」
「今のところお母さんみたいに強い人がいない」
これである。マルシア達は苦笑を浮かべる事しか出来ない。
サヤも重度の親バカだが、ラナとシアも重度のマザコンなのである。
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