24.スライムのスタンピード

スライムは弱小魔物で、誰でもコツを掴めば簡単に倒せる魔物とは言え、スライムの特徴上、武器で倒そうとするのはかなり厄介である。故に、冒険者でもスライムはパーティーに魔法を使える者がいれば、さっさと魔法で片付けてもらうのが基本スタイルである。のだが……


「はぁ〜……やっぱりスライムって面倒よね……」


サヤは溜息を吐きながらそう言うが、サヤは剣だけで次々とスライムの群れを倒し、魔石に変えていっている。しかも、属性攻撃を持ち、弱点属性の魔法しか効かないスライム、状態異常攻撃をしてくるスライム、果ては、岩のように固く物理攻撃を受けにくいロックスライムですら、まるで魚を捌くかのように切断して倒していっている。本当に面倒に感じてるのか怪しいぐらいである。


しかし、やはりスタンピードの恐ろしさはこここらである……


「ん……?はぁ〜……面倒なのが出てきたわね……」


今回のスタンピード最大の難関。それは、メタルスライムの大群だった。

メタルスライムは、伝説の鉱石と言われるミスリルやアダマンタイトを偶然にもスライムが吸収した事に発生した魔物と呼ばれていて、物理攻撃はもちろんの事、魔法攻撃にすら耐性があり、メタルスライムを倒すには相当に時間も手間もかかる為、何の準備もしてない冒険者は出会った瞬間に撤退する事もある。

が、メタルスライムを何とか倒そうと奮闘する冒険者も中にはいる。何故なら、メタルスライムの魔石はとにかく高く売れるのだ。伝説の鉱石を吸収しているだけあって、その魔石はいろんな加工品に使える為、かなりの値段で取り引きされている。だから、それ目当てでメタルスライムを狩る冒険者も少なくないが、あまり成功例はない。


「さて……どうしたものか……あっ、そうだ。アレを試してみましょうか」


サヤがそう言った次の瞬間には、メタルスライムの大群は無数の鎖に拘束された。

もし、先程の2人がこの光景を見ていたら卒倒していただろう。何故なら、自分達が長年費やして開発した「魔法拘束鎖」がアッサリとサヤが習得してしまったのだ。しかも、たった1人で無数のメタルスライムの大群を拘束する鎖を出したのだ。そんな事、彼らは逆立ちしても出来ない事である。

それだけじゃない。彼らは試した事はないが、「魔法拘束鎖」でメタルスライムを拘束出来ないと考えていた。何故なら、メタルスライム自体が魔法耐性を備えている為、拘束しても弾かれてしまう可能性が高い。

しかし、サヤが出した「魔法拘束鎖」は確実にメタルスライムの大群を拘束していた。それに、サヤは鎖に精霊の力を使わず、自分の下降魔法の力を流していた。その結果……


「これ意外に便利ね。今度のスタンピードで役立てましょう」


そう言ってサヤは拘束されたメタルスライムを次々と剣で両断して倒していく。メタルスライムはサヤの下降魔法を受けステータスが0になっている事もあり、サヤの剣でアッサリと両断されていく。恐らく、この光景を見た冒険者は全員まずは一回自分が見間違いをしているのではと疑う事であろう。それだけあり得ない事をしている自覚が当然サヤにはなく



やはり、いつものようにスライムのスタンピードもサヤによって潰されたのだった……

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