9.魔石の鑑定
サヤが持ってきた大量の魔石を見て驚くコロナだが、その魔石がどの魔物から発生する魔石か分かって余計に驚く。
「これは!?大半がオーガの魔石!?しかも、数個はオーガの上位種の魔石まで!!?」
オーガ。鬼型の魔物で、ランクはそこまで高くないとはいえ、新米冒険者が何人かでパーティーを組んで倒せるぐらいのレベルだ。その魔物の魔石が大量に、しかもオーガの上位種の魔石まで混ざっているのだ。コロナが驚くのも仕方ない。
しかし、そこで先程までコロナに絡んでいたグラニフが、今度はサヤに絡み始めた。
「おいおい!無能なゴミ屑のサヤちゃんよ〜!いくら役立たずで追い出されたとは言え、盗みはよろしくねえなぁ〜!」
ゲラゲラ笑いながらサヤに近づいてそう言うグラニフ。しかし、サヤはグラニフの方を見ずに早く換金してくれと言わんばかりにコロナを見る。
「追い出された……?それはどういう事でしょう……?」
「俺もたまたま烈火の勇者様がいた酒場で飲んでたんだけどよ!こいつ!烈火の勇者様に役立たずのゴミ屑だからって、装備も道具も取られて、パーティーを追放されたんだよ!まぁ、仕方ないよな!魔剣士でもアレじゃ役に立たないもんなぁ!!」
グラニフはその時の事を思い出してゲラゲラ笑う。そんなグラニフの態度に、コロナとダンクは不快そうに眉を上げるが、当のサヤはまるで無反応である。そんなサヤの態度にイラッときたグラニフは
「おい!役立たず!悪いことは言わないからさっさとそれを返して謝ってきな!今なら一晩勇者様と寝るだけで許してもらえるかもよ!!」
と、サヤに詰め寄ってくる。が、サヤはやはりグラニフの方を見ようともせず
「だから何?」
と、だけ答えた。その反応にカチンとくるグラニフ。
「あぁん?テメェ!俺様を舐めてるのか!?」
「私がこの魔石を盗んできたものなのかどうかは魔石を鑑定してもらえばハッキリするわ。その為にこの冒険者ギルドには鑑定のシステムがあるんでしょう」
サヤの正論に言葉を詰まらせるグラニフ。
冒険者が持っていた魔石を誰かに盗まれるという被害はよくあるので、冒険者ギルドでは「鑑定」というシステムがある。魔石にある微かな記憶から、誰がこの魔物を倒したのか読み取るのが「鑑定」である。故に、魔石の換金は冒険者ギルドでしか行えないようになっている。
コロナもその事に今更ながら気づいて、魔石の鑑定を始めた。すると、その鑑定からコロナは驚きの光景が映し出された。
「なっ……!?嘘でしょ……!!?」
思わずコロナがそう漏らしてしまうほど、それは衝撃的だった。
何故なら、あのサヤが大量のオーガを剣でバッサバッサと斬り倒していたのだ。しかも、オーガの上位種であるオーガナイトやオーガロードやオーガキングまで……まるで野菜でも斬るかのようにアッサリと斬り倒していたのだ。
オーガの身体はなかなかに頑強で、普通の戦士でも斬るのはなかなか苦戦するのに、この目の前にいる15歳の少女はそんなオーガの腕やら首やら胴体をアッサリ斬り伏せているのだ。驚かない方がおかしい。
「で、鑑定結果はまだなの?」
サヤにそう問われてコロナはハッとなり、すぐに鑑定をやめる。
「間違いありません。この魔石の魔物は全部サヤさんによって倒されています」
「何だと!!?」
コロナの鑑定結果に驚くグラニフ。ダンクも声には出さないがかなり驚いていた。
「これで文句ないわね。早く換金をお願い」
「おい!!待て!!」
もうこれ以上何も言わせない、早く換金しろと言わんばかりにコロナを見るサヤにグラニフは怒声をあげて再び詰め寄ってきた。
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