2.たった1人による無双劇

たった1人でゴブリンのスタンピードに突撃する女性。コタローは呆然としていたものの、すぐに「待って!?」と制止の言葉をかけようとしたが


「グキャ!?」


「ガキャ!?」


「ギギャ!?」


ゴブリン達は次々とその女性によって斬り倒されていく。そのゴブリンの中には、ゴブリンナイトやゴブリンロード、ゴブリンジェネラルと言ったゴブリンの上位種がいるにもかかわらずである。


(というか……ゴブリン達の動きが明らかに鈍ってる……!?)


そう、自分達に向かってきたゴブリン達の動きが、女性が登場してから明らかに悪くなっているのだ。スピードも遅くなってるし、全然攻撃も仕掛けてこないし、何より簡単に剣で両断されてしまう程、防御力が低下してるようにコタローには見えた。

これは、ゴブリン達全て下降魔法によって弱体化している影響によるものなのだが、それをコタローは知らないし、そんな事を出来るなんて思い至る事すら出来ないであろう。それだけ有り得ない現象が目の前で起きているのだ。


しかし、スタンピードの本番はやはりここからであった。


「グオォォォォ〜ーーーーーーーーーーンッ!!!!」


「なっ!?アースドラゴン!!?」


ゴブリンをあらかた倒したところで突然現れたのはアースドラゴン。防御力も高く耐性もいくつか持っている。上級冒険者が何人かで挑んでやっと倒せるレベルの竜型の魔法である。ゴブリンだけかと思えば、このようなダンジョンマスター級の魔物が出現するのがスタンピードの1番怖いところである。


「逃げてください!?いくらあなたが強くてもアースドラゴンには敵いませんよ!!?」


コタローは今度こそ女性にそう言葉をかけるが、女性はコタローを振り向きもせず


「逃げる?冗談言わないで。子供を育てるにお金が必要なのよ。それに、念願のマイホーム資金ももう少しで貯まるのだからね」


そう言って女性はコタローの制止を無視して、アースドラゴンの頭上まで飛び上がると


ズバシャアァァァァ〜ーーーーーーン!!!!


「グオォォォォ〜ーーーーーーーーーー!!?」


女性の剣により、アースドラゴンは文字通り真っ二つに一刀両断され、アースドラゴンは最後に咆哮をあげ絶命した。


(そんな!?アースドラゴンがたった1人の冒険者に敗れるなんて!!?)


今自分が見た光景をまるで信じられないコタロー。それも仕方ない。防御力が高く耐性をいくつか持っていて、上級冒険者が何人かで挑んでやっと倒せると言われたアースドラゴンがものの数分……いや、下手したら数秒で倒されたのである。これを、コタローが誰かに話しても、きっと嘘吐き少年のレッテルを貼られて終わるだけだろう。「テリュカ」以外の国で話せば……


こうなれば、残る数匹のゴブリンなど女性の敵ではないだろう。スタンピードの残りのゴブリン達も女性が狩っていき、ゴブリンのスタンピードは1人の女性によって対処されたのだった。

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