21.アルテミスとサヤ

アルテミスはアロマにニコリと笑って微笑んだ。だが、アロマはダラダラと脂汗を流している。というのも……


「うふふ♡懐かしいですね。アロマ。私は冒険者になって!全ての世界を救うのよ!って私達に木剣を握って宣言していた小さな女の子が、まさか人間と結婚して一児の母になってるなんて♡」


「ちょっ!?やめてください!!?アルテミス様ぁ!?娘の前で私の恥ずかしいエピソードをバラすのは!!?」


そう。エルフ族はよくドライアドの住む森に通っていたので、当然ながらアロマも通っていて、アルテミスとは顔見知りであったので、アロマの過去をよく知っていたのだ。


「お父さん!?今の話本当なの!!?」


「だから前から言っただろう。お母さんはあれで昔かなりのお転婆だったと。まぁ、そこが可愛いところでもあったんだがな」


ディアスは懐かしむように嫁自慢をする。コロナは信じられない気持ちでアロマを見る。あんないつでも穏やかに笑ってる自分の母がそんなにお転婆娘だったなんて信じられなかったのだ。しかし、ドライアドは人と違って嘘をつく種族ではないので、今の話は本当の事なんだろう。


「それよりも!!アルテミス様!何故アルテミス様ともあろう方がサヤちゃんに貴重な「神妖樹」を融通したんですか!!?」


話題を変える為アロマは必死になってそう言った。

まぁ、アロマの疑問は最もで、「神妖樹」は何年経っても腐らず、虫も寄ってこないし、家を作るのに最適過ぎる木材と言われているが、この木はドライアドにしか作れない上に、ドライアドは人間に良い感情を持っていない。それなのに、サヤにその「神妖樹」を融通するのは不思議な話ではあった。


「それは簡単な話ですよ。サヤが私達ドライアドの命の恩人だからです」


アルテミスが微笑んでそう答えるも、皆首を傾げて頭にハテナマークを作っていたので、今度はサヤが代わりに答える。


「前にドライアドが住まう森の近くにスタンピードが起きたから私がいつも通りに潰したのよ」


「あぁ、なるほど。そういう事でしたか」


ドライアドは森の管理者は名乗っていても、攻撃手段は持ち合わせていない為、スタンピードに対処する術はなかった。防御結界は張れるものの、もう直前で起きていた為間に合わず、ドライアドの生命が全て絶えるかもしれないと皆覚悟していた時にサヤが現れ、スタンピードをいつものように潰したのだ。


「我々は人間に対してあまりいい感情はなくても、何かお礼をせねばと、サヤにその話を持ちかけたのですが……」



「報酬ならこの魔石達で十分稼いだからいらないわ。娘達が待ってるから。それじゃあ」



「と、言って立ち去って行ったんです」


それを聞いた面々は何ともサヤらしいエピソードたなと思った。


「ですから、ドライアド全体の総意でサヤに何か困った事が起きたら助力しようと決断したので、その旨を竜人王エイーダに話しました。そうしたら、つい3日前にエイーダが……」



「アルテミスよ。サヤの奴が何やら木材を探しておったぞ。家を建てる為に必要だとか言っておったぞ」



「という連絡をいただいたので、急いでサヤに家を建てるのに「神妖樹」を提供しました」


アルテミスはニッコリ笑ってそう説明した。その話を聞いて、やっぱりサヤはとんでもない繋がりを持ってるなぁ〜とコロナはそう思ってサヤを見るが、当のサヤは、自分の愛娘達2人が自分のお手製ベッドではしゃいでいる姿を微笑ましそうに見ていた。

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