38.グラニフの裁判

「テリュカ王立最高裁判所」、「テリュカ」でも最も大きな裁判所で、高位の貴族や、高ランク冒険者を裁く場所として使われている。そんな場所で、1人のBランク冒険者の裁きが行われようとしていた。


「では、Bランク冒険者グラニフ・テングスの裁きを行う!まぁ、最も……裁きは決まったようなものではあるがな……」


「テリュカ王立最高裁判所」では裁判長役も兼任しているエイーダが軽く溜息をついてそう言った。


「待て!?だから何で俺が裁かれなきゃならないんだ!!?俺はBランク冒険者だぞ!!?」


この後に及んでもそんな事を言うグラニフ。傍聴席の人々から白い目で見られていても御構いなしだ。唯一、同じく傍聴席にいたサヤだけは軽く溜息をついた。


「だから何じゃ?お前が何者であろうとこの国にいる限りは平等に裁くと言ったであろう」


エイーダがひと睨みしてそう言うと、グラニフは「ひいぃ!!?」と言って縮こまる。それを見たサヤは、やっぱり伊達にこの国の王をやってるだけはあるなと思った。普段は見た目通りの子供っぽいような行動ばかりするのに……


「お前の罪状は人の子を誘拐し、あまつさえその子を奴隷商人に売り払おうとした。これは立派な犯罪行為じゃ。証言としてお前の仲間達からは証言はとれておる。特に、お前さんが利用していた新人冒険者は素直に何もかも白状したぞ」


「スバル……」


エイーダのこの言葉に傍聴席にいたコタロー達3人はなんとも複雑そうな表情をみせた。この後はスバルの裁判も行うと聞いて、3人とも足を運ぶように言われたのである。


「更に、お前さんが呼んだ奴隷商人2人からも同様の証言がとれておる。最初こそ、怯えまくって何も話さなんだが、喋らないと余計にサヤに怒られると言ったら素直に白状しおったよ。やれやれ……一体何をしたのやら……」


エイーダは傍聴席にいるサヤをジト目で睨んでそう言ったが、サヤはそれを素知らぬ顔で受け流す。実際問題、サヤは奴隷商人2人には何もしてないので全く関係ない話ではある。


「まぁ、とりあえず……以上の事からも分かる通り、お前の罪は確定しておる。よって……」


「ちょっ……!?ちょっと待て!?異議があるぞ!!?」


このままだと普通に裁かれてしまうと思ったグラニフはエイーダに異議を申し立てる。


「ほう……見苦しい言い訳になりそうじゃが、一応聞いてやろう。異議を言ってみよ」


「ッ!?さっき!俺が攫ったのが人の子と言ったが!あの2人は純エルフで!この国のエルフの里は滅んでしまってる!唯一いるのはアロマだけだろう!」


傍聴席にいたディアスが最愛の妻の名前を言われ、殺気を込めた眼差しでグラニフを睨むが、グラニフは気にせずに続ける。


「だが!そのアロマは人間と結婚してすでに子をもうけてるし!他のエルフとの間に子をもうけてもいない!」


「当たり前だ。愚か者が……!」


「あなた。どうどう……」


「つまり!あの2人は親がいない孤児扱いだろう!サヤはエルフではなく人間なんだ!その孤児を拾ってどう扱おうが俺の勝手だろうがぁ!!」


全くもって本当に見苦しい言い訳に、傍聴席全員が白い目でどころかポカンとした表情になってしまっていた。

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