第5話『挑戦者』

前回のあらすじ


スピルカ先生の発言により今から襲われます。


何で!?



「挑みたい者は飛びかかれ!!」


スピルカ先生の発言により大量の生徒が

押し寄せてきた。


「あわわわわっ!!」


『マスター、

今こそ加減なぞしなくて良いのだぞ!

たっぷりと甚振ってやろうではないか!』


「えぇ!?」


横の2人を見ると既に杖を持っており

やる気満々。


「もうっどうなっても知らない!」


ゼウスの光杖を持ち構える。

すると5体の召喚獣達が一斉に僕に飛びかかってきた。いざ目の前にすると怖っ!!


「ひぃいっ!!」


『マスター、やるぞ!』


「えっ」


ゼウスが僕の肩に手を置き指を鳴らす。

5体一斉に雷が落ち、跡形もなく消え去った。パートナーを消された召喚士は背を向け逃げていく。


『ふむ、加減が難しいな。』


「え、えぇえ!?一瞬で!?」


『何ならまだ押し寄せてくるヤツら含め全員灰に出来るぞ?』


「それはちょっと…僕とゼウスに向かってくるの限定でお願い!」


『了解した。』


「ふふふ…」


何処からか聞こえる笑い声。

不思議と鮮明に聞こえる。


「君のゼウス美しいね。」


「だ、誰!?」


「でも僕の方が…もっと美しいっ!!!」


急に赤いバラを咥えた男性(召喚士)が飛びかかってきた。


もの凄く腹立つポーズで。



しかし、一際大きい雷に撃たれて黒焦げとなり落ちた。



『間違えた覚えはない。』


「うん、ゼウスは間違えてない。」


その黒焦げは美人な召喚獣に回収された。

美神か。あの人に勿体ないくらいだ。

美神は小さく頭を下げた。


『む、アレはアフロディーテではないか。』


「知ってるの?」


次々と襲い来る召喚獣を見もせず雷で倒していくゼウス。ちょっと怖い。


『何だマスター。

オリュンポス十二神を知らぬのか?』


「あー…聞いたことはあるよ。」


『では己で調べるが良い。

自らの手で知識を増やせ。』


「教えてくれないんだ。」


『直ぐに答えを言うよりも考えた方が愉快だろ?』


「…そうだね。」


ゼウスは全知全能、つまり全ての答えを知っているんだ。だからこそ考える事が出来る人間に自ら考えさせるのかな。


それに…あんなナルシスト…個性の塊なのにゲームに居た覚えがない。


『………あーーーっまどろっこしい!!!

我に挑む者全員まとめて来い!!!』


ゼウスがしびれを切らして声を荒らげた。


「何て事言うんだ!!?」


僕はレンとリリアンさんを見た。

はい出た何考えてるか分からない顔と

無表情!


「へぇ…全員か。

じゃあ俺もキミに挑もうかな。」


戦っているルシファーを放っておき僕に

向かって手を挙げる黒髪。


「れ、レン…くん!?」


名を呼ぶと彼はにっこりと笑った。


「覚えててくれたんだ。嬉しいなぁ。

俺はキミの名前忘れちゃった。」


あーーームカつくぅう…!

挑発に乗ってやる…!


「…受けて立つよ。」


「リリアンちゃんはー?」


リリアンさんは覚えてるんかい!!

うざっ!!


「1人1人私に挑む方のお相手致します。」


と、本当に1人1人を相手にしている。

瞬殺しているなぁ…。


『マスター、集中してくれ。』

「ごめんなさい。」


レンが声をかけたからかアーサーは

少し怪訝の目でリリアンさんに声をかけた。

それにしてもやっぱりアーサーが武器を振るうとカッコイイ…。


「つまりやらないと。おけー。じゃあゼウスの召喚士君、宜しくね。皆を消してから。」


うわ、レンの目付きが変わった!本気だ!


「っ…ゼウス!」


『あぁ。』


ゼウスは手と手の間にバチバチと鳴る玉を

作り出し掲げた。


『さぁ、受け取れ。

 一瞬の苦しみは最高神の慈悲である!』


その玉から雷が伸び、瞬く間にモンスターは貫かれ姿を消した。それにより人口密度が

随分と減った。ヨシュアとプロメテウス、

メルトちゃんとアテナは無事のようだ。


『マスター!余所見をするな!』


「あぇっ!?」


目の前にレンが迫っていた。


「ちゃんと挨拶したじゃーん。」


今にも僕を殴りそうだ。


「召喚士って杖で戦うものじゃないの!?」


「ルシファーは剣だよ?」


「それ召喚獣!!」


レンに突進するように攻撃を躱す。


ゼウスの光杖を手に取り向けるが


あの水晶玉を破壊してしまう程の力をこの杖は持っているんだ。

今ならレンを止められる?


いや、殺してしまう!!それはダメだ!!

彼を護るんじゃない!

僕が退学になるのを防がないと!!


『!マスター、何故渡した杖を使わない!

握り締めているだけでは意味が無いぞ!』


「だって!!」


「舐めてんの?」


レンのパンチを身体を捻って上手く躱す。

そっちこそいじめられっ子舐めるな!


『ゼウス様』


えっ何このイケボ。


『ルシファー…』


えっ今のルシファー?近くで見ると…

聞くとやば。女の子惚れるだろうな。


ルシファーはゼウスに剣を振り下ろす。

そこで、僕は初めて


ゼウスが杖を持つところを見た。


ゼウスの神々しい杖はルシファーの剣を受け止める。


『何故最高神の貴方様がその者の所へ?』


『はんっ!そっくりそのまま返してやろう!

何故そんな捻くれ者の元へ天使長である貴様が現れる?』


『全知全能の貴方様ならお分かりでしょうに。』


『『…』』


「「…」」


お互いのパートナーが無言なのが気になり、僕とレンは一旦止めた。


『マスター興が冷めた。やる気出ない。』


ゼウスがヤンキー座りからの頬杖を付いた。杖は消したようだ。


「神様なんだからその格好ダメ!」


「いやー…思った以上に皆やられたなぁ!

あはは!」


プラネタリウムの星空のような薄いドーム状の結界からスピルカ先生がケラケラ笑いながら現れた。


「3人ともありがとう。戻ってくれ。」


足早に戻ろうと階段で降りた時


「覚えたよ、エクス君。

いつか殺しあおうね。」


「っ!」


ぞくりと冷たいものが背筋を這った。

名前を言った覚えはない。

元々覚えていたんだろう。


色んな人に避けられながらヨシュアとメルトちゃんの元へ戻ってきた。


「おかえり、エクス。」


「カッコよかったわよ!」


「あはは…ありがとう。

2人はパートナーが無事で良かったよ。」


スピルカ先生はアストライオスの両手に座り話し始める。


「はーい、力の差を思い知ったところで合同オリエンテーションに移行しまーす。

皆はパートナー任せで杖を振っていたけど

魔導書も使わないでコイツらに適うと思ってたのかー?ならば馬鹿だな!」


言っちゃったよ。


「今相棒が残っている奴は魔導書を取り出せー」


「魔導書…。」


鞄の中にあったよな。

…えーと…あ、あった。

茶色くて分厚い本を取り出した。

中身は何も書いていない本。


「そしてそれにパートナーの魔力を流してもらえ!」


あぁ、あれか。


「ゼウス。」


『うむ。』


ゼウスに本を手渡した。

彼は本を宙に浮かせて手を振り下ろす。


この魔導書でパートナーとさらに深い協力関係を築けるようになるんだよね。


『ふんっ』


ゼウスが力むと大きな雷が本を目掛けて落ちてきた。



その一瞬で僕の大切な魔導書が発火した。



「何でぇええぇえっ!!!!?」

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