第8話『ランクSSS捜索隊』

前回のあらすじ


ベヒモスとグリフォンを上手く気絶させて先生の元へ辿り着いた!

そこでゼウスはかっこいい所をライバルの

プロメテウスに横取りされてご立腹。

止める身にもなってよほんと!!



『ええいっ離せマスター!!私にとっての魔獣はアイツだ!!今すぐにでも縛り付けて我が自慢の鷲にアイツの心臓を、臓物を啄ませてやる!!』


えげつない!!


「僕はゼウスのマスターだよ!

マスターの言うこと聞いて!」


『っ…だが!』


「おい、ベヒモスが来るぞ!」


スピルカ先生の言葉にハッとした僕達は


つい反射で雷を撃ってしまった。


…やべ、咄嗟に持ったゼウスの光杖で勢いよくサンダーボルト(中級雷魔法強化MAX)がでた。ゼウスに至ってはライオウガ(上級雷魔法強化MAX)になっていたぞ。さっきまでの気絶させる雷はデバフの1つだっただろうし…。


当然それを受け焦げたベヒモス2体は倒れ込む。


上手に焼けましたー。


…言ってる場合か!!


ちらりとスピルカ先生を見ると先生は口を開けて固まっていた。その分アストライオスが凄く近い。ついでに睨まれている。

ひぃーっ!!


「せ、せんせっ!1体のベヒモスとグリフォンは無事ですからお許しをー!!」


「エクス!」


あ!ヨシュアとメルトちゃんが走ってきた。


「良かった、無事だったんだね!」


息を切らしながらも心配してくれたヨシュアに頷いて、2人の様子を伺う。


「うん、そっちは?」


「さっきみたいにプロメテウスがどかーーんって!アテナが回復してあげてたわ。」


回復必要になってんじゃん。


とか人の事言えない。

ゼウスの魔導書の回復魔法を試す時だな!


「さっき驚いて攻撃しちゃったんだ!

ちょっと回復させてくる!」


「ついて行きましょ、ヨシュア君。」


「そうだね。」


焦げたベヒモス2体の間に立った。

うー…悪いことしちゃったな。


回復魔法のページ開いてくれる?


と、本に向かって念じるとペラペラとページが捲られる。

全体回復させたいから…あ、あった。


「中級回復魔法、【キュアスクエア】!」


唱えると足元に大きな緑の魔法陣が現れた。すっげぇー!!細かく字とか刻まれてる!

ゆっくり回ってるー!すげぇ!

魔法陣からオーロラのような薄くも優しい

緑の光が放たれる。


「わぁ…!エクス君の回復魔法は綺麗ね!」


「中級魔法か、いいね。俺は回復少ししか出来ないみたいだから羨ましいよ。」


「そうなの?」


ヨシュアは苦笑しながら


「今より強くなれば出来るようになるってさ。」


と僕に挑戦するような目を向けてきた。


「いつでも、相手になるよ。」


「あ、私も私も!2人には負けないわ!」


あぁ、友達とは何と素晴らしいのだろう…

独りだった頃と…大違い…あれ?


前が、見えないよ…?


「エクス?泣いてるの?!どうしたの!?」


「え?」


ヨシュアが焦った顔で僕の肩を掴む。


「何処か痛いの我慢してるの!?

見せて!!」


と、メルトちゃんが身体を弄る。


「ちが…っそうじゃない!」


「「え?」」


「…僕、ずっと独りだったから…

友達を知らなかったから…うれしくて…!」


気持ち悪いと思われたか。

ヨシュアとメルトちゃんは顔を見合わせていた。でも…僕の考えは杞憂だった。


だって彼らは笑顔を僕に向けてくれていたのだ。


「これからはもう独りじゃないよ。」


「私とヨシュア君、ゼウスにアテナに

プロメテウスも居るわ!」


『あぁん!?』


いつの間にか戻ってきたプロメテウスが

怪訝な顔で近付いてきた。


『誰がゼウスの召喚士と仲良くするかって…』


「プロメテウス。

マスターは仲良くなるよ。」


笑顔で青筋立てているヨシュアはヒメリア

先生よりも怖い。


『……はい…。』


『お父様。』


『ん?』


『お父様は…あの者がから召喚に応じたのですか?』


『何者か知っているから?はて…何の事だ?

私はただ、約束を果たしただけだ。』


『…約束?』


アテナとゼウスが固まった先生の横で話している。何喋ってるんだろ。

…いい加減泣き止まないと。


「…っごめんね。ありがと」


御礼しようとしたらまた地面が揺れる。

我に返ったスピルカ先生が


「来たもんはしょうがない!

協力してくれ!」


と言ったので先生の近くに行く。

回復魔法陣は僕が離れても…うん、大丈夫そうだ。先生は俺たちに屈むように指示した。


「お前らここに来る前は何と遭遇した?」


「僕はベヒモス1体とグリフォン1体です。」


「俺達はベヒモス1体とグリフォン2体です。」


報告を受けたスピルカ先生がうむむと唸った。


「実はまだベヒモスと同じランクSSSがまだ居るんだ!お前らが会ってないとするならまだ徘徊している!3人で探してくれ!

俺はお前らが気絶させた魔獣達を保護しに行くから!」


「「「はい!」」」


やる気のある返事をした僕とは逆に


『えぇー…プロメテウスとは嫌だ。』


と、ゼウスが口を尖らせる。


『それはこっちのセリフだボケぇ…。』


プロメテウスも同じように口を尖らせた。


『『あぁ!?』』


また始まった…。


『あの、アストライオスのマスター。

 何故3人でなのですか?』


アテナが聞くと先生はにかっと笑って


「だって纏めて処罰出来るだろ?」


と怖い一言を放った。

さぁーっと血の気が引くのが分かる。


「なぁんてな!冗談(と言っておくだけ)だよ。

仲良くなってもらう為のオリエンテーションだと思ってくれ!じゃ、そういう事だから。頼んだぞー!」


アストライオスが生み出した小さな土星のような天体に跨り、先生は自分より長い杖を手に持ちゼウスが倒したベヒモスが居る所へ向かった。


「ベヒモス以外のSSS…あれ?

先生にどんな奴か聞いてなくない?」


顎に手を当て考えるヨシュアに、僕とメルトちゃんは顔を見合せ


「「そういえば…。」」


と呟いた。

ゼウスは僕の手をとり1人で行こうとする。


『マスター、探せば見つかる!

さっさと行くぞ!』


「だめ!単独行動禁止!ゼウスが何と言おうと僕はヨシュアとメルトちゃんと一緒に行くから!」


『だそうですよ。お父様。』


『何とぉ…』


しょんぼりしているゼウスを一瞥しプロメテウスに視線を移すヨシュアは黒い笑みを浮かべて釘を刺す。


「プロメテウス、俺も同じ事を言うよ。

良い?」


『ぐぬぬぅ…っ!!』


よし、後は掛け声だ!


「じゃあ最後のランクSSS捜索隊、

結成&出動だ!」


「「おー!」」


メルトちゃんはアテナに笑いかける。


「ほら、アテナも!」


『ぉ、おー?』


「プロメテウスはやらなくていいよ。」

『やらねぇよ!』


『(わくわく)』


ゼウスの視線が…はぁ。


「…やるぞー(棒)」


『おー!』

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