第13話『校内を案内!』

 前回のあらすじ


ヨガミ先生がアポロンに泣かされました。


じゃなくて。


僕エクス=アーシェ、メルト=ガーディア、

ヨシュア=アイスレインはブラックリストに

載ることになってしまいましたがヨガミ先生の計らいで何とか大丈夫そうです。

その分、危ない事が起こりそうな事件を解決する為の協力者となりました。


 …


「いやー…いつ行っても彼処は慣れん。

上ってやだなー。怖いなー。

でもアストライオスが居てくれて助かったよ。ありがとな。」


『…(コクリ)』


「ヨガミアイツらに何て伝えてるかな〜?

記憶を消してないと良いけど…あ、アポロンに泣かされたらそれどころじゃないし大丈夫そうだ!早く戻らないと!その前にヒメリアに伝えとかないとな!」


 …


「ぐすっ…うぅぅ〜…」


全然泣きやみませんこの大人。


『いくら何でも泣きすぎじゃな〜い?』


アポロンは先生を肘置きにしたまま。

涙の水溜まりが僕らの足元まで迫ってきたので立ち上がって先生の後ろに回った。

そういえば先生って幾つだっけ?


「ちょっと失礼します。」


魔導書をヨガミ先生の頭にこつんと当てる。


人間って有効なのかな。

すると本が開いた。どうやら良さそうだ。


【ヨガミ=デイブレイク】

人間族:24歳

属性:光属性


24歳!!

それに光属性……1番闇属性が似合うのにアポロンのせいか…。


兎に角、頑張って泣き止ませないと。


「よ、ヨガミ先生は光属性なのですね!

カッコイイなぁ!」


「…」


無反応…!


「……あぽろん、あいつのぞくせいは?」


『ちょっと待ってね〜』


アポロンが僕の手を握ってきた。


『雷と光属性だよ!』


「はいぶりっどにいわれてもうれしくねぇ…」


えぇー…?何この人…。

僕は助けてもらおうとメルトちゃんとヨシュアを見た。メルトちゃんが手を挙げ


「私に任せて!」


と言った。

ワカメって言っちゃダメだよ!


「せーんせ!ヨガミ先生!」


「…んだよ…」


「先生ってカッコイイですよね!」


…なぬ?


「…かっこいい?」


「はい!顔が!」


顔が…かおが…カオガ…(エコー)


嘘だろまさかメルトちゃんってヨガミ先生がタイプ?あんな根暗ワカメが!?


「かお…おれのかおかっこいいの?」


「はい!」


メルトちゃんの元気な返事にガバッと起き上がったヨガミ先生。


「そうか、俺カッコいいのか!」


「うんうん!カッコイイわ!」


『うわー嬉しそうだねヨガミ…。』


「女の子にカッコイイと言われたらそりゃお前…」


「め、メルトちゃん…ヨガミ先生がタイプなの?」


つい気になって口に出した。

するとメルトちゃんは満面の笑みで


「全然タイプじゃないわ!!」


と答えた。


僕は嬉しかった。けれど


『ヨガミーーーっ!!』


ヨガミ先生のガラスのハートを粉々に砕いたようで。彼は自分の杖の先端を首元に突きつける。


「思い上がったもういっそ殺せ…」


次の瞬間、先生の杖がナイフに変わった。


「!?」


何あれ!?


『ほう…面白い奴だな。』


ゼウスが口角を上げた。


「何あれ?」


『錬金術さ。この世界だと創造魔法、と言ったところか。思った以上にやりよるな!(誰でも出来るが。)』


『…だって、父上が褒めるってボクには羨ましいことだよ。(誰でも出来るけど。)』


「…最高神に褒められた…!」


 ニヤけた先生のナイフが杖に戻った。


「ふっふっふ…やっぱり俺は凄いんだ!!

よし、お前らさっさと戻るぞ!」


すごい変わり身の早さ!


僕達は顔を見合せ軽やかに駆ける先生の後を追った。


 …


最初の大聖堂に戻ったけど…


「誰もいない…。」


すると何かに気づいたアテナが祭壇へ向かった。そして紙を手に持ちメルトちゃんに渡した。


『マスター、コレを。』


「何かしら?」


メルトちゃんが持つ紙を全員が覗き込む。


[命令違反の三人衆へ

スピルカから事情は聞いた。以後気を付けるように。そちらにデイブレイクが居ると聞いた。

そこに纏めてある荷物を持ったらそいつに校内を案内してもらえ。終わり次第解散とする。自由行動だ。だが、メルト=ガーディアは1度女子寮に戻ること。くれぐれも問題を起こさぬように。


ヒメリア=ルージュ]


「ヒメリア先生からだ。」


文面を聞いたヨガミ先生は溜息を吐く。


「何で俺がお守りしなきゃなんねーんだよ…。はぁ…もういいや。よし、お前らさっさと行ってさっさと解散するぞ。」


「「「はーい。」」」


僕はMAPあるけどね。実際に行って教えてもらった方が覚えやすい。


「えー…まずは…1番近い所から紹介するぞ。」


「「「はーい。」」」


 校内探索!ワクワクする!

僕らは纏めて置かれた自分達の鞄を手に取り校内を歩き回る事にした。

廊下は大理石の大きな柱が幾つもあって、床には赤いカーペット。ゼウスから貰ったMAPにはゲームと同じ長方形で真ん中は空洞…つまり外となっている。MAPからして…ちらりと右を見ると本当に外と繋がっており、草花が手入れされてて見栄えの良い庭園がある。天気もいいし気持ちよさそうだ。それに白い小さな机と椅子も置かれている。

キャラクター誘ってお茶出来たとこだ!

…メルトちゃん誘う練習しよ。


「はーいここが教室でーす。」


ヨガミ先生は地味な焦げ茶色の扉の前に立った。上の方にGod Classと書いてある小さな看板が。


「この扉が神クラス、その右が天使クラス、そのまた右がアルファクラス。以上。次行くぞー」


中を見ないの!?場所が分かればいっか。


「訓練場は授業中に教えるから行かないぞ。

 今からはお前らの寮へ向かう。」


寮生活!ワクワクするなー!

…ゲームだとレンと同室だったな。




先生歩くの速い…


「で、ここが食堂だ。」


とてつもなく広い部屋。

沢山の長机が横に並んでいる。

もう既に何人かは食事を取っていた。


「また後で話があると思うが先に。

この食堂は朝昼夜、決められた時間内に無賃で食べられる。間食も食べられるがそれには金がいる。何で稼ぐかって言うと、お前らが今出来る手段は校内アルバイト。このだだっ広い学校は清掃やお前らのお世話で一苦労だ。人手を増やせば仕事は減るだろ?お前らはお金を貰える。スタッフは人手が増える。

ウィンウィンだ。」


校内アルバイトはミニゲームだったな。

思った以上に面白くて好きだった。

…皿洗いのゲーム内容がよく分からなくて清掃ばっかやってたけど。今回はリアルだし大丈夫だろう!


「じゃあ次。」


あぁ、やっぱり歩くの速い…。

廊下を左に曲がる。すると左に青い扉と右に赤い扉。真っ直ぐは行き止まりになっていた。


「ここからお前らの寮だ。男は女子寮に入れない。いいな。」


ゲームでも見えない壁に阻まれたっけ。

え?行ったのって?だってき、気になるじゃん!


先生は青い扉を開ける。


「メルト、お前も男子寮には極力入るな。

何か用事があるのなら俺やスピルカに。どうしても言えないのならアテナに言うように。良いな?」


「はーい!」

『わかりました。』


男は野獣ですからね…。

通路は広く、右側の壁にも左側の壁にも部屋がある。沢山あるなー!


「…あった。エクス、ヨシュア。

2人はこの部屋を使うように。」


真ん中らへんで止まった先生は1つの扉を指さした。壁際のプレートに

Aix=Ashe

Joshua=Icerain

と並んで書いてあった。


「ヨシュアと一緒の部屋?」


「あぁ、スピルカの計らいかもな。」


「やったぁ!!」


「やったねエクス!!」


スピルカ先生ありがとう!!

ノリで友達になれた、というか親友になるという関係確定のヨシュア以外に友達作れって言われても絶対無理!話しかけられないから!!僕とヨシュアは肩を組んで喜んだ。


『『コイツと一緒なんて嫌だ!』』


が、ゼウスとプロメテウスが声を荒らげた。


「仲良くしようね…?」


ヨシュアが笑顔で2人を見る。

うっすらと開いたその瞳だけ、笑っていなかった。


『『ぁぃ…。』』


こっっわ。


「じゃあメルト、女子寮にぱっといってさっと出るぞ。俺が殺される。」


「はーい!」


「お前らは待ってろ。」


と言われたので僕達は寮の入口まで戻る事にした。…ちょっと行きたかったとかそんな下心は…無いと言えば嘘になるかな。


「ねぇ、ヨシュ…」

「あれ?エクス君だ。」


うげ、この声は…!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る