転生したらチート召喚士になりました。

『プロローグ』

こんにちは。

もしかするとこんばんは。

僕は今、学校の屋上のフェンスの向こうに

立っています。

何をするかって？

またまた、分かってるでしょ？

飛び降りです。

いじめられっ子なんです、僕。

毎日飽きないのかってくらい新しいイジメをくらいながらも耐えて、でも家にも居場所が少なくて。

こんな人生でどう幸せになれと？

先生も家族も助けてくれやしない！

一番悪いのは当たり前だけどいじめっ子。

でも知ってて助けてくれない奴だって同罪だ！

　だから！！

僕が死んでどれほどまで苦しんでいたか

知ればいい！

死んで呪ってやる！生き甲斐とかないし！

…あ、でもあのゲームだけは生き甲斐と

呼べるものだった。

『デウス・エクス・マキナ』

召喚士が通うゼウリスという名前の魔法学校が舞台。

国を脅かす悪い魔物を討伐する為に召喚士となる決意を固めた主人公だったが、後の裏切り者の世界征服計画を知り、それを阻止するために召喚したパートナーの召喚獣と強くなる家庭用RPGゲーム。

最後のパートナーは神族最強キャラゼウス！ってね。

ゼウスはマジでパラメータが壊れてた。

文字通りの最強だったからゲーム会社が

若干叩かれてたりしたっけ。

…最初は至って普通のゲームだったけど裏切り者が出てから戦闘が多くなって楽しかったなぁ。たまに敵が強くて焦ったり。

ゼウスが来てからは無双だったけど。

あと主人公の名前が『エクス=アーシェ』って固定だからフルボイスで臨場感あったのも良い。

人気声優さんが声を当ててるから女の子の

可愛いキャラとかモンスターにドキドキしたし！

モンスターは召喚時にも声が出て…

あ、召喚って言ってもゲームの中でガチャを回すんだ。

それが召喚士である召喚システム。

クリスタルからモンスターが現れるあの

演出、カッコよかったなぁ…。

また帰って寝ずにやろうかな…。

うん、そうしよう。フェンスに登…

「うわっ！！？」

とてつもない強風！！

昨日雨だったから？！

何にせよまずい…！

僕は今…

フェンスを掴めていないのだ。

僕の身体は後ろへ、学校の運動場に向かって

落ちた。

え、僕落ちてる？

嘘、こんな呆気なく？

どうせならよし、さようなら！

とか覚悟を決めてやろうと思ったのに。

事故死になるのはゴメンだ。

頼む誰か遺書を見つけて…！

……凄いゆっくり落ちてくな。

そう感じるんだっけ。

それに走馬灯とか嘘だったんだな。

何も見えない。

思い出が無いのか、そうに違いない。

あーあ。最悪な人生だった。

来世は、ゲームの世界で…それこそ

デウス・エクス・マキナの世界で…。

主人公じゃなくていいから支えの親友ポジでお願いします神様。

あ、思い出した。

そういえばデウス・エクス・マキナの召喚って全キャラが出るシステムなんだよな。

チュートリアル後の序盤からゼウスを呼べる可能性が…。

元々帰ってからそれを試すために徹夜するつもりだったのに嫌になって忘れてここまで来ちゃってたんだった。

最強キャラが最初からなんて…

どんだけ勝ち組チート野郎なんだか。

まぁ…負け組の僕には、もう関係無いよな。

『関係なら私が作ってやろうではないか。』

何処からか声が聞こえたのを最後に、

僕は短い人生に幕を下ろした。