第2話 『皆のパートナー』
前回のあらすじ
最強キャラゼウスの召喚に成功しました。
勝ち組に昇進…と思ったら彼はヒメリア先生の
イフリートを瞬殺して喧嘩を売ってしまいました。
…
「…エクス=アーシェ…」
ヒメリア先生の魂が抜けたような声に
「…はひ…。」
気の抜けたような声で返事をした。
「お前は神クラスだ…。並べ。」
「はい…イフリートの件、すみませんでした。」
「…気にするな…」
すっごい気にしてる。
戦闘不能になった召喚獣はアイテムを使うか一定時間のクールタイムで再び召喚可能となる。
死んだ訳じゃない。
けれど申し訳ないな…。
「ホントにすみません…行こう、ゼウス。」
『うむ。』
声をかけたもののまだ現状を理解出来ていない僕の隣を浮きながら付いてくる彼をちらりと見上げ
「…ホントにゼウス?」
と改めて疑いにかかる。
『まだ疑うのならマスターにも雷を落としてやろうか。』
「これでもかってくらい信じます。」
『それで良い。』
脅されたよな、今絶対。
胸を張るべきことのはずなのにとぼとぼと歩いていると皆が僕を避ける。
こそこそと話し声も聞こえる。
視線もグサグサと突き刺さる。
この光景から転生前を思い出し足が重くなる。
変われると思ったのに早速浮いた…。
アークエンジェルじゃないのに、天使クラスじゃないのに…。
既にストーリー変わってるし、また虐められたらどうしよう…。
『む?マスター、何やら不安げだな。
私が来たと言うのに。』
だからだよ、とは言えず。
「あ、新しいクラスだから…」
と嘘ではないことを言った僕に疑いの目を向けていた彼は自己完結したようで頷いた。
『成程!心配は要らないさ。
私が居るからな!はっはっは!』
「…そうだね。」
ゼウスの高笑いにつられて笑おうとした瞬間、
背中に衝撃が走る。
「ぼへぇっ!!」
あれ?背中に柔らかい感触が。
「エクス君凄いね!!
ゼウスだなんて!私驚いちゃった!」
「めっめめめめメルトちゃん!?」
メルトちゃんが僕の背中に抱きついていた。
鼻血でそう…!!
「私も神クラスだったよ!!
ほら見て、私のパートナー!」
メルトちゃんの視線を追うと金髪で凛々しい女性がふわふわと浮いていた。
僕はその女性を知っていたので思わず声を上げてしまった。
「もしかしてアテナ!?」
ゲームと一緒だ!!
「そう!カッコイイでしょ!
神族だからクラス一緒だよ!」
「やっ…た!!」
「「わーい!!」」
心底嬉しい!!!!飛び跳ねたい!!
メルトちゃんと手を繋いで人目も気にせずその場をクルクルと回る。
『む、アテナ!!』
『お父様!!』
え?何だって?
「神話だとゼウスの額から生まれたのがアテナよ。だからアテナはゼウスさんの娘さんだね。」
メルトちゃん神話について物知りだったな、そう言えば。
じゃなくて額から生まれた?何それ初耳。
『コイツは鎧ごと出てきたんだ。こう…』
「やめて!!!!」
手振りで見せてくれようとしたけど止めた。
えげつない!
『そうか?
とても痛かったから少々根に持っている!』
『その話はやめて下さい。
お父様であろうがコレからは味方であり敵なのですから。』
そう、アテナの言う通りだ。
勿論味方なんだけど、模擬戦で敵になることもあるからね。
『お父様には負けません。』
『ほーう?言うようになったな。良いだろう。』
バチバチと火花が散る中でマスターである僕達は彼らを置いて行き列に並んだ。
後からアテナがメルトちゃんの所へ来て謝っていた。
『申し訳御座いませんマスター。』
「良いのよ〜?
でも、危険な事はなるべくしないでね。」
『は。以後気をつけます。』
礼儀正しいな、アテナは。それに比べ…
『マスター、娘だろうが容赦はせんぞ!』
と反省もしないゼウス。
「危険な事はやめてね。
ほんと、怒られるの多分僕なんだからさ。」
『善処してみる!』
する気ないな。
『げぇっ!ゼウス!!』
嫌そうな声に振り返るとヨシュアが居た。
でもヨシュアの声じゃない。
ちらりとヨシュアの横を見ると赤と黒が混じった髪の毛のヤンキーのような人が浮いていた。組んでる腕の間からキラキラと煌めく炎がぼうぼうと唸っている。
『げぇ…プロメテウス…』
ゼウスも嫌そうな顔をしている。
そんな2人を無視し、ヨシュアが話しかけてくれた。
「やぁ、さっきぶりだね。えーと…」
「僕はエクス。エクス=アーシェ。」
「エクスか。俺はヨシュア、ヨシュア=アイスレイン。宜しくね。」
さっきの態度とは裏腹に別人のようだ。
口角も自然に上がって、何より目が優しい。
「俺、めっちゃ緊張しててさ。冷たく当たってごめんね。同じクラスだし仲良くして欲しいな。」
眩しいイケメン顔…。流石主人公を抑えての召喚士人気ナンバーワンなだけはある!!
フィギュアにもなってたしなぁ!
「も、モチロンだよ…。」
くっイケメン羨ましい…。
『おいマスター!
ゼウスの野郎の召喚士と仲良くすんな!』
と、プロメテウスが嫌そうに僕を指差す。
『そうだぞ!
プロメテウスの召喚士なぞ碌でもない!』
ゼウスはヨシュアを指差す。
『『あぁ!?マスターを馬鹿にするな!!』』
おでこをくっつけてお互い睨み合う。
あーもう…
「「煩いっ!」」
「プロメテウス!」
『ぐぬぬ…』
「ゼウス!」
『ふぬぬ…』
ただでさえ目立ってるんだからやめてよ!
はぁ…。先が思いやられる。
溜息を吐いた時、後ろから大きな歓声が上がった。
何かと思い、見てみると神々しい12枚の純白な翼を携えた天使が現れていた。
僕はあの天使を、アイツをよく知っている。
「ルシファー…」
天使族の性能トップクラス…。
そしてその召喚士は…
「レン=フォーダン、貴様は天使クラスだ。」
「はーい。」
レン=フォーダン。
容姿端麗文武両道のパーフェクト人間。
ネタバレだがその正体は
デウス・エクス・マキナの
裏切り者だ。
僕は何としてでも彼を止める。
それが
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