第31話 気配り上手
兄さんの旅立ちに合わせて、祖父も一度アルトピに戻ることになった。
フランクさんオスカーさんが同行、祖母たちは残る。
父さんは、ここ最近気配を消し気味だったが、祖父がいなくなり多少口数も増えた。あっちの新居が出来るまでは、大変そうだね。
パン太とリリーは、良い雰囲気。
たまに一緒に狩りに行く。
僕は、オスカーさんがいないのでお留守番。
以前はある程度自由だったのに、祖父母が来てから監視が厳しくなった。この部分は、数少ない不満点。
仕方がないので、最近は専ら魔道具作りと素材研究。
アードムさんとも随分打ち解けたと思う。あっちは、無言だけどね。
面倒なので「ドムさん」と呼ぶようにした。
「ドムさん。これくらいの大きさで、温度変化に強い箱が欲しいんですけど作れます?」
ドムさんは作業の手を止め頷くと、素材とメモを渡してくれた。
「えーっと。これと同じものと、ここに書いてある物がいるのか。ありがとう」
足りない物があるので、注文する必要があるようだ。
祖父かフランクさんが戻ってきたら、お願いしてみよう。
『発動体と魔道具作成中級』を貰ったので、魔石から複数の属性を安定して引き出せるようになった。
祖父に貰った中に、良さそうな物のがあったので、エアコンが作れそうなのだ。
この付近は、日本みたいに四季は存在しないけど、ある程度の温度変化は存在する。
年に何度か、風によって山脈から冷たい空気が運ばれてきて寒くなるけど、基本暑い日の方が多くて辛い。
正直、お風呂を改良すれば水汲みしなくてよくなるのだけれど、現状でも使えてるしジム君には悪いけど、しばらくこのままにしておく。祖父母の家には、便利な方を付けるといいかも。余裕をもって維持費も捻出できるだろうし。
ただ、僕の魔道具を売り始めたら次回作として、耐久試験がてら設置してもいいかもしれない。母さんが喜ぶだろうし。
魔道具作りも一旦休憩。
ドムさんが外側を作成するより、僕の作業の方が断然早いので割と時間が空く。
素材検証の時間に充ててもいいけど、今日は少しぼーっとする。
ここのところ、パン太はあまり僕の傍にいない。
リリーの為に狩りに出ているか、二匹の寝床で寝てる。
一緒の時間が長かったので、寂しくなり二匹の方を見ると、リリーとよく目が合う。すると彼女は、こっちに寄って来るんだよね。
他者の感情に敏感なのかもしれない。
こんな感じだから、嫉妬するでもなく結局見守ることになる。
世の中の親ってこんな感情なのだろうか。
パン太やリリーの立場で想像すると、面倒な親な感じがするしちょっとばかり凹む。かっこいいお兄ちゃんを目指さねば。
シエンナさんが呼びに来たので、食事休憩。
祖父母が来てから、食事はほんの少し豪華になった。
それでも、自分で作った方がおいしいもの作れそうな気がする。
オスカーさんが戻ってきたら、町に付いてきてもらおうかな。
あと、自分で馬に乗れるようになると便利かも。
オスカーさんに教えてもらえばいいのかなぁ。
がんばって練習しなくちゃ。
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