第34話 祖父母のお屋敷と助手候補

 ついに祖父母のお屋敷が完成した。

 手前の道も整備された為、ついでに我が家も少々恩恵にあずかる。

 玄関前にロータリーみたいなのがあって、まるで貴族のお屋敷だ。

 家具の搬入も始まっていて、祖父も近いうちに戻って来るみたい。


 寂しいからって祖母は、未だにこっちで生活している。シエンナさんもお世話係なので一緒。オスカーさんも護衛なのでこっち。

 フランクさんに、ドムさんとジムくんは別館に移っている。

 祖父が連れて来る人達が揃ってから、本格的に利用することにしてるようだ。


 実は、先日のプレゼンの効果もあって、僕専用の開発スペースを貰った。

 従業員用の別館の裏、トカゲ園の隣辺りに見た目倉庫で地下有り。

 サイズ的には、車四台分くらい。結構広い。

 こういう工場こうば的なのがあると、職人ぽくて良い。

 足の悪いドムさんにとっても、近いので便利なはず。



 そんなこんなで、開発用スペースを整えたり、素材を工場に移したりして過ごしていると、ついに祖父が戻って来た。

 今回は、かなり人数が多い。


 まず、曾祖父の時代からいる『カーティス』さん。

 商会の古株。亡き曾祖父に拾われた恩がある為、最後まで隠居する祖父の傍で働くのを選んだのだとか。執事みたいなことをするんだって。忠義の士ってやつかな。

 白髪の初老の男性。

 次に、その奥さんの『エヴァ』さん。

 カーティスさんとは職場結婚で、姉さん女房。

 教育係をしていたので、みんな頭が上がらない存在らしい。

 見た目は優しそうな初老の女性。

 その息子で『グレイソン』さん。

 僕の魔道具関連の手続きとかしてくれるみたい。

 若いけど、しっかりしてそう。二十代かな。


 護衛隊長の『アルロ』さんと、他男性二名。みんな三十前後かな。

 女性の護衛で『キャリー』さん。シエンナさんと同じかちょっと若いくらい。

 

 あとは、男性が六人。

 若い人が二人、中年が三人、老人が一人。

 この人達は、僕の魔道具開発の助手候補で、面接して合格者のみ残ることになっているそうだ。


 早速、工場で話を聞く。

 みんな魔道具製作の経験があるって答えるし、初対面で人間性もわかりにくい。

 とりあえず、全員同じデータ取りをして結果を報告してもらうことにした。

 使うのは、一般的な魔道具。

 ドムさんに見ててもらって、僕は一旦離れる。



 屋敷にいたシエンナさんに、ドムさんと助手候補の人達への昼食をお願いする。

 次に、久しぶりの祖父の元へ。

「バウどうだ。何人か集めて来たけど、良さそうな者はいたか?」

「じいちゃん、そんなすぐわかんないよ。今、簡単な作業してもらって確かめてるところ」

「ん? 見てなくていいのか?」

「いいのいいの。こういう時に、ちゃんとしてくれるかが大事だから」

「はっはっは。よーくわかっとるな。よしよし」

「あ、そうだ。新しいの出来たから、落ち着いたら見といて」

「よし! すぐ行くぞ!」

 祖父に促され、製氷機をお披露目。

 祖父は、大興奮。耐久試験等が終わり次第販売することになった。

 すぐに素材確保に動くように指示を出しに行ったので、解放された。

 

 

 このまま工場に戻ると早すぎるので、ぶらぶら。

 そういえば、何人まで採用していいのか聞き忘れたな。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る