第25話 手紙
ついに水路が、我が家に届いた。
でもまだ半分なんだよね。ここから、元の小川に流れ込む工事も必要。
小川からの流れを、せき止めていた板を外し必要な分だけ流す。
畑作業が少し楽になったので、両親は喜んでいる。
オオトカゲの池に水を流しちゃった後に気付いたけど、流れが無いと水が悪くなって臭くなる。小さい池から少し拡張してしまったことを後悔。
でも水溜まりって作りたくなるんだよ。幼稚園時代の、砂場遊びの影響だろうか。
本当は、自分達用のプールみたいなのだって欲しいくらいだ。
午後になって、来客。手紙を携えた冒険者さん。
どうやら兄さんからのようだ。
母さんが受け取りのサインをすると、冒険者さんは帰って行った。
母さんが心配そうに中を確認していたが、読み進めると微笑んでいるので良い報告だったみたい。
「近いうちに一度、ミグマが帰ってくるみたいよ」って教えてくれた。
詳しい話は、父さんが戻ってからだって。
なんだかソワソワしてしまう。早く父さん戻ってこないかな。
日暮れ前に戻って来た父さんに、手紙の件を報告。
夕食後に、兄さんからの手紙について。
・僕の誕生日までには一度戻る
・同行者がいるので、受け入れ準備のお願い
主にこの二点のようだ。
兄さん、ちゃんと事前連絡できたんだね……。
パン太のお相手は、どうなったのだろう。手紙には書いてないらしい。
誕生日プレゼントとして、紹介してくれるのだろうか。
期待しておいて、いないとショックだし考えるのはやめよう。
とりあえず、同行者用の宿泊スペースをどうすべきか話し合う。
増築の際に、無くしちゃったのが裏目に出てしまった。
オオトカゲ達の横ってわけにもいかないだろう。
町に近い側を整地して、そこにゲストハウスみたいなのが無難なのだろうが、今回のは転居とは関係ないので、大工さんの確保が難しいかもしれない。
だとすれば、一時的に僕の部屋と兄さんの部屋を客間にする案が妥当な気がする。
だいたい意見がまとまったところで、就寝。
翌日、朝の作業を終え小休憩。
この際、自分とパン太の為に離れ家を建てるのもいい気がする。
無駄な気もするけど、こういうのを考えてる時って楽しい。
理想の家を、妄想。
前回断念した、地下と屋根裏!
乗れないけど、馬とか飼うのかっこいい。すると厩舎がいる。
自室は狭くていいけど、パン太と寛ぐリビングも必要だ。
当然、開発用の部屋に食堂。それに、トイレとお風呂。
物置に出来る部屋と、食料貯蔵庫。
オシャレにワインセラーなんかどうだろう。
ここで、ふと冷静になってしまった。
僕は次男なわけだけれど、この世界だとどうするのが良いのだろう。
やっぱり実家は長男が継いで、次男は余所に家庭を築くものなのか。
今のところ「世界を見て回りたい」という欲は無い。
スキルの為とか、必要があれば行ってみたいくらいか。
この辺りも、兄さんが戻った時に家族と話してみる必要がありそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます