第26話 祖父母
僕の誕生日が迫って来たので(そろそろ兄さん帰って来るかな)なんて考えながらオータロウ一家のお世話をしていたら、護衛っぽい人が二人と、一台の馬車が我が家を訪れた。
少しして、出迎えに出ていた母さんの悲鳴。
慌てて近くにあった棒を拾って、玄関に向かおうとすると、母さんを挟んで抱き合う初老の男女が見えた。
一瞬戸惑ったが、盗賊とかでは無さそうで安心。
離れたところでこっちを見ながらニヤニヤしてる兄さんがいるので「祖父母と母さんの再会をサプライズで演出」ってのは理解できたけど、ビックリしたので正直やめて欲しかった。
このまま出て行くと巻き込まれそうなので、オータロウ一家のお世話に戻り、時間を置くことにした。
そろそろいいかなって頃に、兄さんが呼びに来た。
「バウ君、久しぶりだね」
「うん。兄さん久しぶり。って言っても一年経ってないけどね」
「そうだね。オータロウ達のお世話ありがとう」
「あっ! 兄さん出て行ってすぐに、八匹も子供産まれちゃったんだけど!」
「あーやっぱりそこにいるのは、オータロウ達の子供か」
「父さんがんばってるけど、食事のお世話大変だよ。どうするの?」
「その辺りも含めて、家で話そうか。ついでに、祖父母も来てるし」
「そこついでにしちゃうんだ……」
家に入ると食堂に母さんと祖父母、あと護衛の人が二名と使用人ぽい男性がいた。護衛の一人は、ロビーニョさんだね。
そして入室と共に、祖父からの強烈なハグ。これを恐れて時間を置いたのに、意味がなかった。
「孫のバウだな! 小さい頃のオリビアによーく似てる! じいちゃんだぞー」
「確認前に抱き着くのは、ダメだと思います」
「何⁉ こんな小さいのにしっかりとしている! じいちゃんはうれしいぞ!」
これは、あまり他人の話を聞かないというか(マイペースで兄さんと似てるかも)なんて考えていると、声がかかる。
「あなた。孫が困っているでしょう。とりあえず落ち着きなさいな」
「おおっ⁉ すまんすまん。はっはっは」
祖母が諭してくれたので、助かった。
何故か祖父母の間に座らされ、こっちを向いている祖母から撫でられている。
祖父を止めたのも、交代したかっただけだったりして……。
母さんに促され、こちらから自己紹介。
「初めまして、バウです。こっちは、黒豹のパン太。弟です」
ちょっとだけ有名な作品の真似しつつ、パン太を紹介。
みんなノーリアクション。まあ、いいけど。
次は、祖父母側の番。
祖父母の見た目は、祖父が金髪で大柄。筋肉もすごくて強そうだ。商人という話じゃなかったっけ……。名前は『ドモン』だそうです。
祖母は、年齢を重ねた母さん。ピンク系の髪の毛で、よく似てる。ということは、僕にも似てるってことになるのかな。名前は『アネット』普通っぽくていい。
なんとなく、ふんわりと優しい印象。
同行者の紹介もしてくれた。
ロビーニョさんは、手をあげて「ども。お久しぶり」って感じで終了。
もう一人の護衛が『オスカー』さん。
簡潔に名前だけ言ってから、一礼。
身長は、やや高め。茶髪に茶色い目。所謂イケメンだ。二十代前半かな。
祖父母の商会で、専属護衛をやってる一人なんだって。
使用人ぽい人っていうか、使用人さんは『フランク』さん。
中肉中背の中年男性。短髪で金髪。どこにでもいそうな感じ。
「お嬢様。お久しぶりです。ご無事でよかった……」とか言ってるので、昔から仕えてる人なんだね。
それにしても『お嬢様』とか言われてるけど、母さん実はお嬢様だったり⁉
気になったので「母さんお嬢様なの?」って聞いてみた。
どうもそれなりに大きな商会らしい。従業員も支店や下働き含め百人くらいいるって。それって元の世界で言うと結構なレベルじゃないのかな。お店って言われてたので、こじんまりとした商店を想像してた。
今は、母さんの兄が跡を継ぐ準備してるところだそうで、任せて来たとか。
他にも数名連れて来てて、オストロイの町に待機中らしい。
お土産もあるってことで(なんだろー)ってソワソワしてるところで、父さんが狩りから戻って来た。
喧嘩にならないといいけどな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます