第10話 五歳
パン太が家に来てから、二年が経った。
要するに、僕は五歳になった。
パン太は随分と成長し、前世の記憶で知る豹よりもやや大きく、大型犬やライオンサイズとなっている。動物の成長ってのは、本当に早い。
小さい時からの付き合いなので、関係性はそのまま。よく甘えて来るが、五歳児には受け止めきれない。その度に、尻もちをついてしまう。早く僕も大きくなりたい。
あと、時々獲物を捕って来る。
毎回見せてくれるので、とりあえず褒めることにしている。
スキル検証の方だが、それほど進んでいない。
『造』のスキルだが、木材を組み立てるとか、何かを作成する速度があがったりうまくなったりというものではないようだ。
三歳の時に、不良品だと思っていた水の出る発動体だが、あれ実は不良品ではなかった。
後日交換してもらい、家で母が試したあとに僕も動かしてみたのだが、結果は前回とほぼ同じ。水量の低下だった。
その後両親は、いくつかの比較的安価な発動体を試したのち、スキルによって『発動体が異常をきたす』と結論づけたようで、僕が魔力をうまく使うのを難しいと考えたようだ。いずれ『発動体』ではなく、高価な『魔道具』を購入してくれると言ってくれている。
ちなみに『発動体』と『魔道具』何が違うのかだが『発動体』は、生物の持つ魔力を流し効果を得る道具。『魔道具』は、魔物から得られる『魔石』を動力としている。『手動式』と『電池式』のラジオの違いのようなものだ。たぶん。
しかし僕は落胆していない。このスキルの可能性に大いに期待しているからだ!
なぜならスキルによる変化で『低下』させることがあるなら『増加』する可能性もあるから。
更に言えば、今まで使われていなかった素材を利用できる! かもしれない。
するとどうなるかだが、現在使われている『発動体』や『魔道具』を改良したり、場合によっては新しい物を生み出すことが出来る。
現在『魔道具』は、それほど普及していない。
理由としては、値段と効率の悪さだ。特定の素材しか利用されていない。
しかもほとんどの物は、数時間から数日で『魔石』の魔力が切れてしまうらしい。
そこに新たな素材、選択肢を投入すると……。
考えただけで、ワクワクしてしまう。
さて、ここで問題がある。
そう。まだ五歳児の僕には、素材を集める『力』そして『財力』が無いのだ。
しばらくは、魔力トレーニング含め出来ることをするしかない。
今年の誕生日に兄さんからもらった蛇の抜け殻を、去年もらった巾着に入れ、お金が貯まることを祈った。
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