第7話 スキル告知の儀3

 話の長い役人さんに解放された後、帰る前にも女神様にお祈りをすることになった。あの儀式に神様が関係しているのかは、不明だけど……。

(あのワンちゃん、動物喫茶の子と同じタイプかな)なんて考えながら女神像に近づき、手を組み目を閉じる。

 すると、突然に頭の中に言葉が浮かんでくる。


『まもなく 災い 芽吹き 大地 荒れる』

『多く 小さき力 集いし刻』

『安息の地へと 変わる』


 驚き目を開き、女神像を見つめる。

 何かが起こった様子はない。

 突然のことに驚いてしまったが、僕はこの言葉を知っている。

 というか、聞いたことがある。

 何故、今まで忘れていたのか。

 そしてこのタイミングということは、神様からのお告げ。

(あの時の声は、三人だったような……)


「さあ。お腹が空いただろう。もう行こうか」

 ぼーっと思考を巡らせていたが、父さんに促され神殿を出る。

 そういえば女神様の名前を聞いていなかったと思い、父さんに聞く。

「とーちゃ。女神様、おなまえは?」

「女神様の名前は『エリード様』だ」

「へー」


 神殿を出たところで、荷車を受け取り繁華街へと向かう。

 繁華街近くの空き地で老人にコインを渡し、またしても荷車を預ける。

 荷車があるので屋台で何か買うのかと思っていたが、こういった駐車場のようなサービスがあるようだ。

 

 開放的な食堂に連れていかれ、父さんは慣れた様子で注文していく。

「今日のおすすめと、小さい子が食べられるような物をたのむ」

「はーい。おすすめと子供用ね」

 店員のお姉さんは、注文を聞くと厨房に入っていった。

 数分待つと、料理は運ばれてきた。父さんのは、パンとスープに焼かれた肉。僕のは、牛乳っぽいもので作られたスープ。

 それなりに客も多いので、比較的人気のお店っぽいが、味はまあまあ。普段、母さんが作ってくれる物の方がおいしい。


 食事を終え、買い物へ。

 父さんに抱っこされた状態で、雑貨屋に向かう。

 店内は、所狭しと商品が並べられていた。

 入り口付近は、安そうな物。

 父さんは、羽ペンと紙を何枚か。

 ほかにもいくつか小物を買い、支払いを済ませた。


 空き地で荷車を受け取り、帰り道の露店で野菜や果物を購入。

 見ていると、多少は貨幣についてもわかってきた。

 銅貨、大銅貨。銀貨、大銀貨。あと家で見たことがある小金貨と金貨。

 価値としては、大銅貨が百円くらいだろうか。普通の銅貨は、あまり使われていない。面倒だからか、お釣りを渡すより数や量を値段に合わせているようだ。

 


 その後は、入って来た門から出て、橋を渡り帰路についた。

 考え事をしていたからか、行きよりもお尻の痛みは少なかった。

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