第49話 獣人2
待っていてくれた支配人さんにお礼を言って、別室へ移動。
キツネさん達にもついてきてもらう。
別室には、候補として八人並んでいた。
人間の男性が半分の四名。女性が二名。
ドワーフが一名に獣人男性が一名。
それぞれの紹介をお願いする。
男性一名は、元職人。ただ怪我をしていて、細かい作業は難しいとのこと。
残り三名は「何でもやります!」な若手。スキルはもの作りとは関係ない人達。
女性はスキル持ちと、器用な人が一名ずつ。
ドワーフは、元職人でスキルもあり。
獣人男性は、クマ系でスキルは違うけど器用。
普通にいくとドワーフの人なんだけど、かなり高い。
それに、ドムさん含めドワーフ二名になるがうまくやれるだろうか。この人ちょっと頑固そうに見える。
その後、個別に質問させてもらった結果、女性二名と獣人男性に決めた。
理由は、この中だと安かったから。あと、素直な印象を受けた。
ドワーフの人だと一人で予算オーバーだし、男性の元職人さんは怪我の程度がわからない上に悪化するリスクも考えられる。男性三名は、予算との兼ね合いもありなんとなく。
女性の方が高そうなイメージあったけど、作業させるってなるとやはり男性の方が人気みたい。
お金を払って、契約手続き。
女性二名は、見た目対照的。
素朴な感じで、大人っぽく見える『リア』さん。二十代中頃。
細工関係のスキルがあるらしい。
もう一人は幼い感じの『クレア』さん。十代中頃。
親が狩人だったらしく、その影響で木工を嗜んでいるとか。
獣人男性が『オーリー』さん。十代中頃。
背が高いけど、可愛らしい顔に小さいクマ耳。耳と尻尾だけ獣人のタイプ。
元世界だとモテそう。こっちだとどうなんだろうね。
ちなみにキツネさん達は、やっぱり家族だった。
ただパーノポーでは、特に獣人の扱いが酷いみたいで名前すらないらしい。
なので僕が決めることになったんだけど、責任重大。
少し考える時間をもらうことにした。
彼らを連れて宿へ向かう。
思ったより大所帯になってしまった。
こんなはずではなかったのに。
ジジイのせいなんだが、ジジイに感謝でもある。たぶん自分で判断する場面だったなら、彼らキツネ一家を買うことは出来なかっただろうし。
すごく失礼なんだけど、獣人って見てると餌付けしたくなる。なんというか、動きが動物なんだよね。
道中で定番の肉串を買って配る。言葉が通じているはずなのに「食べていいのかな?」みたいに肉串とこちらを窺う姿が犬っぽさを感じさせる。
キツネってたしか犬系だったはずなので、そのせいもあるのかもしれない。
宿では、キツネ一家で一部屋。女性二人で一部屋。オーリーはオスカーと同じ部屋にした。ジジイは、好きなタイミングで転移で帰るのでベッド使わないからね。
身体を拭くためのお湯と布を各部屋に用意して、今日は休んでもらうことにした。
食事関係は、後でオスカーにお金を預けて任せてしまう。無難に宿で済ませることになるんだろうけど。
買わなければいけない物もあるけれど、今日はこのまま伯父さんの家に帰る。
彼らに必要な物も、一緒の方が捗ることもあるだろう。
帰りながらキツネ一家の名前を考える。
そういえば、子供の性別をちゃんと確認していなかった。
子供用には、男女二つずつ候補を考えることにした。
『キタキツネ』から『キタ』というのも一瞬思い浮かんだが、やめた。
伯父さんの家に着いたので、オスカーを宿へ帰す。
ジジイは買い物して帰るらしい。
明日、買い物をして明後日には帰路につこうと思う。
一気に七人も増えたと知ったら、祖父は驚くだろうか。
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