第45話 アルトピ
アルトピでの宿泊先は、当然母さんの実家だ。現在は、伯父さんの家ということになるのかな。グレイ以外の二人は、宿に泊まるので一旦別れた。
ジェームズ伯父さんは、よくしゃべる元気な人だった。
「君がバウ君だね! いやー小さい頃のオリビアによく似ている! いや、ということは母さんにも似ているということだね! ははっ!」
そのまま奥に連れていかれ、家族を紹介された。
奥さん、娘さん、息子さんと紹介されたが(この人少し苦手かも)って思っていたのであまり頭に入ってこなかった。悪い人ではないのだろうけど、グイグイ来られるのは苦手。ましてや、身内となると無下にもできないし。
一先ず、母さんからの手紙を渡し、旅で疲れているということで客間に下がらせてもらった。
コミュ力が高そうだったので、商人としてはある意味優秀と言える気がする。
翌日、改めて挨拶をされた。
サマンサ伯母さんに、フィリップ君とレティちゃん。子供二人は丁度兄さんと僕の間の年齢だ。フィリップ君が三つ上で、レティちゃんが一つ上。
フィリップ君は落ち着いてるというか大人しい印象で、レティちゃんは伯父さんに似たのか元気な感じ。
母さんについて聞かれたりしたが「元気にしています」以外にそれほど話すことがない。代わりに祖父が田舎の風景とかを語ってくれて助かった。
オスカーとジジイが迎えに来たので、これ幸いと外出。案内役は、グレイ。
今日と明日、とりあえずアルトピ観光をする。人材発掘は後回し。奴隷の人も対象と考えているので、雇ってしまうとその日から泊るところや食事の費用が発生してしまうし、出来るだけ戻る日に近い方が望ましい。まあ正直、費用どうこうよりその瞬間から発生する管理責任というか、その人の人生を一時的にでもあずかるのが重いってのが本音。
アルトピはさすがに都会だけあって活気に溢れている。
県庁所在地に降り立った、田舎者な気分。さすがに、東京や大阪の主要な駅とは言えないが、都会独特の緊張感みたいなものも感じる。ここは、間違いなく都会だ。
リリーが売られていたお店ってのも見てみたいんだけど、まずは魔道具店を見に行く。
警備の人が入り口に立っていて、雰囲気はブランド店といった感じ。
入店すると、店員さんからの視線を感じる。
店内を軽く見渡してから気づいた。なるほど、他の服装が綺麗な客には店員が付いて接客している。それに対して僕らは、有名ブランド店に量販店の服で入って来た田舎者まるだしの恰好だ。まともな見た目ってグレイくらい。そういえば、あまり服装に気を付けていなかった。以後こういった店に入る場合は、注意しよう。
店側としては、お供や護衛がいるのでまずは様子見といったところか。
(おうおう。これでもアルトピ侯爵様もご購入された製氷機の作者様だぞ!)という偉そうなキャラを脳内で作り上げながら店内を見て回る。
基本的な、火の出る物や水の出る物や光る物。扇風機みたいなのもあるね。
他は、エアコンがある。僕が作った物とは別のタイプ。魔石効率が悪いのに大金貨一枚、一千万もする。
あとは、お湯が出る物とかもあるけど、思っていたより生活に密着した商品ってないみたいだ。
ジジイは暇そう。基本、興味ないとテンション低いんだよねこの人。
一角では、発動体と武器が売られている。
魔法剣! かっこいい!
心躍るってやつだけど、僕は剣使わないんだよね。
売ってるのは、剣とか槍に斧。あとは、弓に杖。装飾も派手だし、お金持ち用の武器なのかな。
鈍器がない。トゲトゲバットくん改良できたりするんだろうか。
発動体の方も確認。
サッとみてみたが、特別気になる物もなさそう。
最後に専用の警備の人がいて、厳重に守られてる物を近づかずにチラッと見ると『治癒の腕輪』と書いてある。
治癒⁉
(すげー!)って思ったんだけど、ゲーム風にいうとヒール系なのかリジェネ系なのかどっちなんだろう。
ジジイは相変わらず暇そうにしてるし、これも作れるのかな。
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