第43話 新商品開発中
僕の開発した魔道具を売り始めてから、それなりの日数が経過した。
あいかわらず、ホットプレートや光る魔道具は順調に売れている。
製氷機も子爵様が追加で購入してくれたようだ。ついでに、宣伝もしてくれたのかアルトピ侯爵含め、数名の貴族にも売れた。
すでに十台近く売れているし、子爵様のように追加注文にも期待したい。
研究開発を続けるうちに距離も縮まったので『ジイ』さんの呼び方を『ジジイ』に変更した。まだ時々「さん」と付けてしまうけど。他の人は、未だに『ジイさん』と呼んでいる。僕以外が『ジジイさん』と呼ぶと「殺されたいんか?」と酷く豹変する。名前に、特別なこだわりがあるようだ。
最近は、パン太もジジイを「美味しい物をくれる奴」と認識したようで、程々に仲良くなっている。「パン太は、弟」と伝えると、たまに貢物を持って来るようになっている為だろう。
リリーは、ジジイの強さがわかるのかビビリ気味。
ただ、貢物はちゃんと頂く。ちゃっかりしている。
そろそろ新商品を売り出したいところだが、どれにすべきか。
ジジイとの研究開発の成果として、いくつか候補ができ耐久試験を行っているところである。
まず、以前から考えていたが完成させていなかった『お風呂用魔道具』。
これの問題は、温める部分を別にしているので大きくなってしまったこと。
単純に二属性では、程よい温度に出来ないので水と風でジャグジーの状態にしてそこをホットプレートで温める状態となっており、大き目の湯船ごとセットしないとバランスが取れない。その為、原価と販売価格共に高くなってしまう。
次が、お風呂と似ているが『サウナ』の魔道具。
こっちは、火と水の二属性なので部屋さえ用意できれば、魔道具を設置するだけで使用可能だ。値段も抑えられる。
ただ、専用の部屋を用意するというのが、少々大変かもしれない。
あとは『ファンヒーター』の魔道具。
当初の想定よりかなり小さくすることで、丁度よい暖かな風を作り出すことに成功したのだが、この付近あまり寒い日がない。あと、調整されているとはいえ二属性で強化されているので、狭い部屋で利用すると暑い。
今のところ一番マシなのが『発光する物体から水が出る魔道具』だろう。
無駄に光るだけで、効率よく水が出て来る。
問題は、外装だ。パン太をモデルにするとカワイイだろうが、ずっと水を吐いている姿はちょっとシュールすぎる。素直に箱でいいのかもしれないが、光る箱ってのが気に入らない。
どれもこれも多少問題を抱えている。
そういえば、売り上げが順調なので、このままいくと在庫が乏しくなりそうだ。
現在、魔道具の外側を作れるのがドムさんのみなので、このままだと生産が追い付かなくなる。
あとは、助手問題も忙しくて有耶無耶なままなので、解決しなければならない。
その為、近いうちに祖父と一緒にアルトピまで行こうと思っている。
パン太とリリーはお留守番かな。母さんに任せれば大丈夫。懐いてるしね。
ジジイにお願いして、時々転移で戻ってくるのもいいだろう。
本当は、ジジイにみんな揃って連れてってもらえればいいのだが、僕と母さん、パン太とリリー以外はダメらしい。本人のこだわりなので無理は言えない。
ジジイが護衛で二人だけで行くってのも、家族が心配してダメらしい。
ちなみに母さんだけ一緒に転移可能な理由は、魔族の価値観の問題。
男性が複数の女性相手に子供を作っても、みんな優秀というわけではない。その為、優秀な子供を産んだ女性ほど扱いが良くなるのだとか。となると、僕を産んでくれた母さんは、ジジイにとってある種特別な人となる。
こういう移動時、自分で転移の魔法が使えるといいのだけど、そもそもアイテムBOXもまだだし無理だろう。
まあ、初めての長旅を楽しむのもいいかもしれない。
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