第64話 でっかいキャットハウス
リリーの出産を機会に、家を出ることに決めた。今の部屋のままでは、さすがに狭いだろうという考えからだ。と言っても、遠くに引っ越すわけではなく敷地内というか、工場や炉の奥。
祖父母は「屋敷に住んではどうか」と言ってくれていたが、やっぱり自分で好き勝手できる方が良いので断ってしまった。
先日大工さん達職人が居る時に、自分用の建物を作ってもらえてればよかったのだが、当時はまだリリーのお腹に気付いてなかったわけで、頑張って自分達で作るしかない。
家づくりとなるとまたもや楽しい妄想タイムとなるのだが、パン太やリリーの過ごしやすい環境とは本来どういうものなのか再度考えることとなった。
パン太は、でっかい猫として扱ってきたわけだが、僕の記憶では豹って木の上にいるイメージ。雪豹の場合、環境的に考えると洞窟みたいな場所だろうか。
ならばと、トカゲ園のように大き目の木をベースに、根元付近の空いたスペースで地下洞窟を作成なんてどうだろう。
ついでにいくつかの木を取り込み、板で渡れるような通路も良さそうに思える。子供が落下すると危ないので、下に網も必要だ。
必要な設備を考えつつ地面に線を引いていくと、アルファベットのPのような形になってしまった。
D部分が僕やパン太達のスペースで、飛び出た棒部分がカーマインさん達のスペースとなる予定。完成すれば、やっと彼らを家族一緒に生活させてあげられるようになる。今の生活に随分慣れたようなのであまり気にしてないようにみえるが、それでも多少は違うだろう。
出産までに完成させようとカーマイン一家や手の空いた人と頑張った結果、なんとか間に合った。
意外にもカーマインさんが器用だったこともあって、想定よりも立派な建物となった。といっても、自然を取り込んだためやや歪な建物ではあるが……。
大木を中心として、その根元の隙間に穴をほって洞窟風に仕上げた部分がパン太とリリーの家。根が張っていて思い通りに作れなかったが、無理やり掘って木の強度が落ちるよりは狭い方がマシだろう。何か問題があれば、僕の部屋で今までのように生活すればいい。あとは開閉式の屋根を設置し、地面は土のまま。
そのうち周囲の木に足場を作り、木の板を渡す予定。
そこを中庭のようにし、周囲の木を起点としながら少し床の高い部屋をいくつか作った。そこが僕やオスカー達の部屋。
遠くからみると、小さ目なサーカスのテントのようにも見える。
クロ丸達には、木の上に犬小屋サイズのスペースを作っておいた。使うか使わないかは任せる。
残った飛び出た部分に、水回りの共用スペースとカーマイン一家の部屋といった感じ。
今回、屋根部分はカエルの素材を使うことで軽く、防水性も高く強度もバッチリの仕上がりとなった。
問題としては、日中は採光のために中庭の屋根が開かれていて、上からの侵入に弱い家になってしまった点だが、周囲を大きく切り開き見晴らしを良くしたうえで塀を高めに設置することで対処した。これで侵入されるなら諦める。
僕がでっかいキャットハウス風の家を作っている間に、ジジイは車のテストをしていたらしい。
孤島で走らせていたようだが、その際に海に突っ込んでしまったようだ。そういえば、ブレーキのことを忘れていた。
幸いなことに壊れることはなかったが「どうせなら海を走ろう!」と考えたらしく改良を加え外輪船のような状態にして海を移動したのだとか。
途中シーサンペント等に襲われ撃退に成功したが、試作の六輪車は壊れてしまったらしい。
これで済んでいたら怒っていたところなのだが、エルマさんがシーサンペント等の素材を使って実用に耐えそうなタイヤを完成させていたのでお咎めなしとなった。どうやら完成させるのに、錬金術が必要だったようである。
車については、あとは動力部分がどこまでの圧力に耐えられるかのテストを何度か行い、それに合わせて車両サイズを決めるのとブレーキの作成か。バックは、逆方向にタイヤを回せばいいだろうか。動力と同じ軸に逆向きの動力を追加するか、他の車軸に追加した方が良いのかはやってから判断しよう。
完成したと思っていたが、なんだかんだやることが残っているようだ。
元世界の車を知ってしまっている為に、どうしても理想が高くなってしまう。
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