第37話 お小遣い制

 製氷機の話を聞いて喜んでいたけど「子供が大金を持つのは……」ってことでお小遣い制になりそう。さっきまでの気持ちを返して欲しい。

 ただ、当たり前だが開発関係の物を買うのは別扱い。グレイソンさんに言えばお金を出してくれることになった。


 そういえば、登録のために組織名を決める必要がある。

 僕が決めるらしい。困る。

 悩みに悩んだ末『ヘイル商会』とした。


 次に、お給料を決めなくてはならない。

 こっちの商会所属になる人達の、現在のお給料を確認。

 ふむふむ。ドムさんとグレイソンさんは思ったより少ないか。オスカーさんは、高給取りだね。

 一先ず、今年は祖父に立て替えてもらって、売り上げ次第で決めることにした。今より減ることがないようにしようと思う。ボーナスいっぱいだと嬉しいよね。

 目指せ年収一人一千万!


 あとは、開発費と設備投資関係。

 工場は、祖母が作ってくれたので当面の間は平気。余裕が出たら、払おう。

 食事関係もあったな。

 料理人を雇うまでは、祖母や母さん、シエンナさんにお願いしよう。

 組織運営って、ほんとお金のやりくりが大変だ。

 それなりに貰えるなら、ただの職人の方が楽だね。

 


 翌日、祖父達が商会の登録へ町に向かうので、付いていく。

 祖母がお小遣いをこっそりくれたので、ウキウキだ。

 道中の会話で、グレイソンさんの呼び方が『グレイ』さんに変わることになった。

 雇い主側なので「呼び捨てで」と言われても、いきなりはちょっとね。関係を構築してからってことで妥協してもらう。


 町に到着。

 ずいぶんと久しぶりなのだが、門にいたのはいつもの兵士さん達。元気そうでよかった。


 祖父達と別れ市場へ向かう。

 お供という名の監視役は、オスカーさんとグレイさん。

 今回の目的は、食材と雑貨。

 魔道具関係は、しばらく売り物を作るから開発は一旦お休み。

 食材が山のように置かれているのっていいよね。

 日本のスーパーマーケットでも似たような状態だけど、なんか違う。綺麗すぎるのかな。それとも、野外の解放感か。

 

 簡単な物なら何でも作れそうな気がしていたが、考えてみると調味料がないと難しい物が多い。物語で、みんな醤油や味噌を欲しがるわけだ。

 あと、香辛料も胡椒はわかっても他が全然。

 メニューを考えながら、あっちこっちする。

 途中で、白と黒の石が付いた銀製っぽい腕輪を購入。こういうのって日本じゃ着けなかったけど「せっかくの異世界なので」ってことで買ってすぐに装着!

 うん、ぶかぶかだ。落とさないように気を付けよう。

 白と黒は、リリーとパン太をイメージして選んだ。


 祖父達との合流時間の問題もあるので、戻りながら食材を買う。

 油多めの肉と、トマトに胡椒と玉子。家にあるだろうけど、小麦粉に砂糖に塩。それから、リンゴ。酸っぱいやつね。バターとチーズにハムも追加で!

 うん。お小遣いが無くなった。



 合流後、何事もなく帰宅。

 台所の一部を借りてお料理開始。

 お肉の脂身を切り取り、残りの部分をスライス。

 下味をつけて、ソース作り。もちろんトマト。

 お肉に小麦粉と玉子をつけて、浅めの油で揚げる。

 ポークピカタっぽいのが完成。

 お好みでチーズをどうぞ。

 完成したので、お小遣いをくれた祖母に多めに盛り付けて持って行く。

 おいしいって言ってくれたのでよかった。

 欲しがる祖父と祖母のやり取りを見て楽しむ。

 今回のは、祖母からのお小遣いで作った物なので、僕しーらない。



 パン太とリリーが近寄って来る。気になる匂いなのかな。

 異世界の動物も、食べちゃいけない物って元の世界と一緒なのだろうか?

 テイマーさんに会う機会があれば、聞いてみたいと思う。

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