第17話 冒険者の噂話
我が家を訪れる人が増えてきたことにより、様々な噂話も聞くようになった。
その内容というのが「アクース教の本部がある『パーノポー』という国が戦の準備をしているのではないか」というものだ。
酢豚に入れると、戦争が起きそうな名前である。
パーノポーと隣接する国の一つに、僕のいるハンブルクも含まれている。
戦争というものにあまり良いイメージがないし、パーノポーの相手がハンブルクでないことを願わずにはいられない。
そういえば、パーノポーの話のおまけで、近くの町の名前を知った。
だって、両親も「町」としか言わないし、門衛さんも顔見知りだからゲームみたいに「〇〇の町へようこそ」なんて言ってくれないんだもん。
『オストロイ』それがあの町の名前で、領主は『オストロイ子爵』なんだとか。
一歩間違えると、悪口言われてる気になる名前。響きはかっこいいのに。
時々我が家の部屋を借りに来る冒険者に『ロビーニョ』というやや小柄な男性がいる。
この人、国外含め結構いろいろなところを移動しているらしく、知識が豊富。話も上手でおもしろい。欠点と言えば、少々老けて見えることくらいか。当初、父さんと同じくらいの三十五歳くらいかと思っていたが、実は二十七歳と聞いて驚いた。
ロビーニョさんが言うには、オストロイから王都方面に向かって、山を越えたところに『アルトピ』という街があるのだとか。アルトピ侯爵という方が治めていて、栄えているようだ。
発動体や魔道具作りも盛んらしく、僕はとても興味を持った。
両親に無理を承知で、行ってみたい旨を伝えたのだが、案の定渋い顔をされてしまった。
アルトピについては両親も行ったことがあるそうで、最近の街の様子などを聞いていた。
あと興味を持ったのは、アルトピには『従魔』を扱うお店があるという話。
言われて気付いたけど、パン太にもそろそろお嫁さんが必要な年齢なのではないだろうか。
分類上パン太は『動物』なのだが『魔物』とされる相手とも番となれるらしい。
当然、全然違う生物とは無理だが。
この付近では、ほとんど豹の動物や魔物を見かけない。
恐らくパン太は、色の違いから捨てられた子だったのではないだろうか。
「毛色が違うと捨てられる」というこの手の話は、前世でも聞いたことがあるし、でなければまだ幼かった兄さんが拾ってくることが出来たはずがない。
であれば、この付近でのお相手探しは難しいということになる。
結論として、従魔屋さんでお相手を見繕うのが無難だろう。
それにしても、豹系の従魔っていくらぐらいなのだろう。
僕のお小遣いで足りるはずもないだろうし、金策は急務と言える。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます