第85話 ギルドの底上げ(2)
茅森さんと流石くんを鍛えるため、瑠衣さんと一緒にライズダンジョンを探索している。
ここまでの探索で流石くんがアーチャーとして優秀なことがわかり、茅森さんも剣士として役割を果たしている。
良いコンビになっており、ゴブリンなどには問題なく勝てるようになっている。
もう少し下層に行っても良さそうだ。
そう判断した俺は進む速度をあげ、まずは地下6階を目指す。
地下6階にはリザードマンが生息しており、単体としてゴブリンよりは手強い。
そこも問題なければ地下7階でサンドワームと戦ってもらおう。
2人は地下6階まで順調に来れた。基本流石くんの矢が百発百中で、それなりのダメージを与えることができるのが非常に大きい。
矢の一撃があまり効かない相手に対してどこまでやれるのかをみてみたい。
地下6階へ到達する。ここは沼地エリアとなっており、リザードマンの生息エリアだ。
早速リザードマンを発見する。すかさず流石くんの矢が飛んでいく。
しかし、リザードマンに当たる直前でギリギリ盾で防がれた。
おっ、いつもと違う戦況になったぞ。
一撃で倒せない場合、どう対応するか見せてもらおう。
リザードマンは矢を警戒しつつ、近づいてくる。茅森さんが応戦するため、こちらも近づいていく。
茅森さんの剣とリザードマンの剣が当たる音が響く。
「流石くん、前衛が近接戦闘している時にどれだけ援護出来るかだよ」
俺は発破をかける。
「はい!」
流石くんは辺りを確認しつつ、リザードマンを狙いやすい位置へ移動する。
茅森さんに対し、リザードマンが剣を振り下ろす。
次の瞬間、リザードマンの額を矢が射抜いていた。
「ナイス!」
茅森さんに当てないようにしつつ、チャンスを見事ものにできた。
この戦闘で流石くんはレベルアップし、弓術スキルを手に入れたようだ。
さらに外す可能性が低くなるんだろうな。
そのあとは次々にモンスターを倒していく。
その戦闘をみて、改めてスキルの偉大さを知った。
もともと矢を放つ仕草だったりは様になっていたが、スキルを取ったあとは達人のようなオーラを放っている。
「もー、殆どしょうたろうが倒しちゃうから私が倒せないじゃない!?」
「雪菜ちゃん、落ち着いて!
ちゃんと出番はくるから」
瑠衣さんが落ち着かせる。
実際に流石くんがイレギュラー過ぎるな。
次の戦闘からはまず茅森さんが仕掛けてから、流石くんもサポートし始めるという制約をつけた。
これによって茅森さんもモンスターとの攻防の中での経験を得ていく。
茅森さんも流石くんに追いつくようにレベルを上げていく。
土系の魔法であるアースクエイクを覚えたようだ。アースクエイクで牽制して、矢で攻撃するなどのパターンが出来るな。
増えた攻撃パターンを丁寧に確認していく2人をみながら本当に良いコンビだと思う。
本当はあと2人追加して4人パーティーくらいがバランスが良いと思うが、同じレベルのハンターをみつけれていない俺の責任だな。
それでもこの2人ならどんどんレベルアップしていき、すぐに先輩達に追いつきそうだ。
今日は最後に地下7階でサンドワームに挑戦してもらうか。
「今日はあとサンドワームと戦おうか」
「「はい、わかりました」」
俺たちは下の階に向かって歩き出す。瑠衣さんが寄ってきて小声で話す。
「蓮くん、結構スパルタだね。
かなり実力が伸びたから今日はこの辺にしておくと思ったよ」
自分が基本ソロで探索してたし、常に強いモンスターに挑んでたからな。加減が分からないや。
「意見あったらどんどん言ってくれて構わないですからね。ハンターとしてはソロ探索が長くて感覚が普通じゃないかもしれないので」
「うん、言えることがあったらどんどん言うね」
地下7階への階段へ着いた。よし、降りるか。
地下7階へおりる。ここは砂地エリアでサンドワームの縄張りだ。
ここ気配察知スキルがないと本当に気が休まらないと思う。
少し移動するとモンスターの気配がするが姿は見えない。地中にいるな。
「二人とも20メートルくらい先にサンドワームがいるから気をつけて」
俺がそう言うと、茅森さんが伝えた辺りに向かってアースクエイクを放つ。
地面が割れ、亀裂が至る所にはしる。
少しして、地中からサンドワームが飛び出してくる。
そこを流石くんの矢が襲い、サンドワームを追い詰める。
サンドワームはたまらず地中へ逃げ出すが、そこへまた茅森さんのアースクエイクが襲う。
この攻防を繰り返し、遂にサンドワームを倒した。
最初の位置は教えたけど、あとは2人だけの力で勝ってしまった。これは将来有望だな。
ここで今日の探索は終わりにして地上へ戻る。
2人から戦闘中の動きについてアドバイスを求められ、それについて答えたりしてたら、あっという間に地上へ戻っていた。
「今日はありがとうございました。
九条先輩が武器を弓にしたら?と言ってくれなかったら弓をやろうとは思わなかったです。それにこの弓も凄い性能でした」
「武器はりょうさんたちにお礼を言っておいてくれればよいよ。
弓はせっかく中学までやってきたんだからと思っただけだよ」
流石くんもだけど、茅森さんも自信を持てたみたいだ。サンドワームに勝てたのはそれだけ大きいことだった。
この探索は大成功と言っていいだろうな。
この結果は他のギルドメンバーなも良い影響を与えるだろうな。
これからもメンバーと一緒に切磋琢磨していきたい。
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