第77話 卒業、新学期
今日は高校の卒業式の日であり、3年生は卒業する。
ハンターになるまでは高校での人間関係は希薄だったが、ハンターになってからはライズギルドメンバー、探索部の部員といった人達との交流が増え、一気に充実した高校生活になっている。
今日卒業する双葉さん、ゆうりさん、ヒデキ、山川さん、小倉さんとは仲良くやれていて、高校で会えなくなるのは少し寂しいな。
式自体はつつがなく進行していき、問題なく終わりを迎える。
いまは卒業生が体育館から退場していくのを在校生が見送っているところである。
卒業式のあとはギルドホームで皆と少し話した。
「皆、卒業おめでとう!
高校で会えなくなるのは寂しいけど、ギルドでは会えるからこれからもよろしくね」
うちの高校の5人は大学へは行かず、そのままライズギルド一本で行くので、もっとやれることが増えていく。
皆でこれからも頑張っていきたい。
○
4月になり、高校の前の通りも鮮やかな緑で彩られている。
そんな中を俺は亜希さんと高校へ向かって歩いている。
「もう3年生だね、あと1年精一杯頑張らないと」
「そうだね、あと1年悔いなくいきたいね」
「どんな後輩が入ってくるのかな?
楽しみだね」
そんな会話をしつつ、俺たちは校門を通り、校舎に向かう。
校舎の前にクラス分けの紙が掲示されているみたいだ。
俺たちは紙を見ると、二人とも3年1組だった。
だいぶ知らない顔が多いな。あっ、ダンジョン探索部の部長の藤堂がいた。
元のクラスのやつはほとんど居なかった。ありがたい。
「蓮くん、一緒のクラスだよ!
嬉しいね!」
「そうだね、1年よろしくね、亜希さん」
良い1年が過ごせそうな気がする。
○
3年生になってから、数日が過ぎた頃、俺はダンジョン探索部に顔を出していた。
今日は部活としてライズダンジョンを探索する日であり、探索前の準備をしている。
部活へは定期的に顔をだしており、ライズギルドからの定期依頼も継続しているので、良好な関係を築けていると思う。
ただ俺が卒業したらなかなか関係維持が難しくなるのかもな。
来年は天霧くんに頑張ってもらうにしても、その次の年は厳しいな。
俺は部長の藤堂と話しをしつつ、部員の様子を確認する。
「部員達の調子はどう?」
「大会に向けて、追い込める時期だからダンジョン探索でレベルアップしているやつが多いよ。
ただ絶対に本戦にいけるってレベルはまだ残念ながらいないな」
時間をかけてライズギルドへスカウトする人を見ている。
今のところ藤堂をスカウトしたいなと思っている。
仮入部の子達が離れてこちらをみていた。
「君たちもダンジョンに入るの?」
「いえ、私たちは今日はダンジョンの雰囲気を見に来ただけです。
先輩達がダンジョンに入ったら帰宅していいよって言われてます」
仮入部の子が答えてくれる。
来年以降この子達とうまくつき合える人を探さないとな。
俺はその後、部員達とダンジョンに入り、動きで気になったところをアドバイスしていく。
1人の女子部員がゴブリンと対峙している。
「ゴブリンの動きをよく見て!
落ち着いて対応すれば大丈夫!」
女子部員はうまくゴブリンの攻撃を盾で受け止める。
「ナイス防御!
今のところで隙をついて反撃できるともっとよかったね。次狙ってみよう!」
女子部員は次の攻防で見事ゴブリンに一撃を入れ、そのあと粘り勝つことが出来た。
「やった、勝てた!!
九条先輩、アドバイスありがとうございました!!」
人に感謝されるのは気持ちいいな。
少しでも皆の実力が伸びれば俺としても嬉しい。俺も頼られるように強くなっていかないとな。
あとは次の世代をどうやってスカウトしていくか考えないとな。
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