第22話 高校生ハンター競技会 地区予選(1)
忙しい日々を過ごしていたら、あっという間に高校生ハンター競技会の地区予選の日がやってきた。
今回ダンジョン探索部の部員は全員参加している。
短期間ではあるが、ライズダンジョンを探索することで飛躍的に強くなった部員もいる。
副部長のゆうりさん辺りは、かなり良いところまでいけると思う。
地区予選が行われる陸上競技場へやってきた。
亜希さん、ひなたさん、双葉さんの3人はスタンドから応援してくれている。
3人に向かって手を振ると、3人が手を振り返してくれる。
良い成績を残さないといけないな。
そう思っていると嫌な奴に会ってしまった。
鮫島だ。
「おいおい、本当に出場するんだな。
精々恥を掻かないようにしておけよ!」
鮫島の取り巻きの近藤と本田も出るようだ。
鮫島との件も、この大会でけりをつけたい。
「そっちこそ、予選で落ちないようにな!」
俺は鮫島を煽る。
俺に殴りかかろうとする鮫島を取り巻きの2人が止める。
「じゃあな」
俺は無視して歩き出す。
ストレッチをしていると、競技会の運営から参加者人数が発表され、1000名ほどだった。
この中から全国大会に進めるのは上位8名だ。
かなり狭き門だな。
この大会での活躍を切っ掛けに有名なハンターへなる者も多い。
多くのギルドがスカウトを派遣しており、有力なギルドも多い。
俺も良さそうな人がいたらライズギルドに誘ってみるか。
開始時刻となり、司会者がマイク片手に登場する。
どうやら、地方大会だがテレビカメラが入るようだ。
競技会の説明に入る。
競技会は2日間にかけて行われる。
初日は午前に予選、午後から予選を勝ち抜いた者によるトーナメント戦が2回戦まで実施される。
初日でベスト16が決まる。
2日目に3回戦、準々決勝、準決勝、決勝と行われる。
2日目に1回勝てば全国大会の出場権を得られる。
試合数が多いので、いかに体力を温存して勝つかも重要になってくるな。
その後、予選のルールが説明される。
闘技台から落ちると失格となるルールの16人での模擬戦だ。
別会場も使い、進行していく。
俺はそのままこの会場で試合だったため、自分の番がくるまで試合を観戦する。
試合が始まると、最初は周りを警戒して動きが無いが、誰か1人が動くと連れだって動きが加速していく。
大抵が決定打に欠け、最後の1人が決まるまで10分はかかる。
ときたま最初に圧倒的な実力をみせ、相手の戦意を喪失される者もいる。
あの魔法使いの人良いな、スカウトしたい。
雷魔法か、覚えておこう。
数試合が終わり、俺の順番になる。
闘技台にのぼり、時間を待つ。
緊張感が漂う。ぱっとみた所、知り合いはいないな。
よし、さくっと終わらせよう。
開始の合図とともに周りが動きだす。
開始の合図ともに、俺はファイヤーソードを唱える。
剣から禍々しい黒炎が現れる。
それを見た他の参加者は本能的に後退る。
俺は誰にも当たらないように注意して、剣を振り下ろすと、振り下ろした先の闘技台がスパッと割れた。
次の瞬間、参加者のほとんどが棄権した。
残った数人に対しては、数回剣で打ち合うと、こちらも棄権していった。
よし、余裕を持って突破できたぞ。
俺はトーナメントに駒を進めた。
俺は予選での立ち回りが印象深かったらしく、テレビ局の人からインタビューを受けた。
当たり障りのないことを答えて、最後にライズギルドの宣伝をしておいた。
このインタビューがどれだけ放送されるか分からないが、少しでも宣伝なればと思った。
残りの試合もみていたが、そこまで興味が湧く試合は無かった。
昼食を挟んで、午後より64名でのトーナメント戦が始まる。
ダンジョン探索部からは俺とゆうりさんの2人がトーナメント戦に進出した。
他の部員でも惜しい者はいたが、やはり攻撃力不足が響いた感じだ。
連携することで強いモンスターにも勝てるようになったが、個人での戦闘力がまだ伸び切っていなかった。
3年生の部員はこれで部活を引退ということとなる。
部員がどんどん敗退していくことで雰囲気はどんよりしていたが、予選の終盤でゆうりさんがトーナメント戦進出を決めたことで活気を取り戻した。
今は敗退した部員含め、全員でゆうりさんを応援している。
俺への応援が少ないのは仕方ない…。
時間となり、トーナメント戦が始まっていく。
ゆうりさんはトーナメントの反対の山に配置されており、決勝まで当たらない。
鮫島とはお互い勝ち進めば3回戦で当たる。
1回戦の俺の相手はハンター養成科がある県内でも有数のエリート高校の3年生の男子だ。
「さぁ、注目の1回戦!ハンター養成科の波多野選手。迎え撃つは予選で対戦相手全員にトラウマを植え付けた男、九条選手!
どんな試合になるか楽しみです」
司会者が選手紹介をするが、あの人たちトラウマになったのか…悪いことをしたな。
俺は少し反省した。
さぁ、試合に集中するかな。
波多野選手は剣と盾をもち、鎧を装備してるので、近接タイプみたいだな。
魔法は使うのかな?
注意しておこう。
お互いが闘技台にのぼり、礼をする。
試合が始まり、相手が攻撃を仕掛けてくる。
俺は盾で受け止める。
タイミングもよく、シールドカウンターが発動する。
相手はダメージを負って驚いている。
少し相手が慎重になったため、今度はこちらから仕掛ける。
単純に剣術でも相手を圧倒できている。
魔法も無さそうだし、問題ないな、終わらせよう。
俺は剣での攻撃の途中で、ウインドカッターを相手の剣目掛けて放つ。
相手がそれに気を取られた隙に首筋に剣を当てる。
「まいった」
相手が降参し、1回戦を突破した。
「おおっと、注目の対決は目にも止まらぬ速さで九条選手が勝ちました」
ゆうりさんも1回戦を突破したみたいだ。
2回戦は予選で注目していた魔法使いの女子だ。
黒のワンピースに杖をもち、完全に遠距離魔法で相手を倒すタイプだな。
「さぁ2回戦が始まります
先程凄まじい速さで相手を倒した九条選手。情報によりますとこの若さでギルドを設立しており、ギルドマスターのようです。
入団したい方は九条選手に話しかけてみましょう!
対する魔法使いの
まったく相手は近づけませんでした。
この対戦は一体どんな試合になるのでしょう?」
司会者が宣伝してくれたみたいだ。
有難いがこれで、話しかけてくる人っているのかな。
相手の雷魔法は厄介だな。
どこに打たれるかも把握が難しい。
闘技台にのぼり、礼をする。
俺は試合開始の合図とともに駆け出す。
しかし、空から雷撃が落ちてきて思うように近づけない。
発動からこっちに届くまでが早いな。
避けるので精一杯だ。なかなか近づけない。
何度かこの攻防が続き、俺が雷魔法に慣れてきたところで反撃に出る。
俺は相手のリズムを崩すために、ウインドカッターとファイヤーボールを相互に放った。
2つ同時に魔法が飛んでくるとは思わなかったらしく、あたふたしながら避けていた。
俺はこの隙を突いて距離を詰める。
剣の射程範囲に入ったので、剣で攻撃をする。
相手は初撃は何とか杖で防御したが、2撃目を防御することは無理だった。
相手を吹き飛ばし、顔の前に剣先を置く。
「まいったわ」
小鳥遊選手が降参する。
「ここで決着がつきました!最後は一瞬の隙を逃さなかった九条選手の勝利です」
これで3回戦進出だ。
順当に明日に繋げることができた。
試合が終わり、礼をしたあと、台からおりる。
これで今日は終わりだ。
そう思っていると、先程対戦した小鳥遊さんが話しかけてきた。
「今日は完敗よ。どうやったら雷魔法を避けられるの?」
彼女から聞かれ、素直に発動されてからどこら辺に当たるかを予測して避けているだけと伝えると、そんなの人間業じゃないと言われた。
俺は話したついでに司会者が言ってたようにギルドを運営していることを伝え、良かったら見学とかに来てみてよと誘った。
ギルドに興味はあると言ってくれ、また今度見学に行きたいとのことで連絡先を交換した。
ギルドに雷系の魔法使いはいないので、もし小鳥遊さんが入団してくれたら大きいな。
自分の対戦に夢中で気づいていなかったがゆうりさんも3回戦へ進出したようだ。
やはりかなり強くなっているな。
それと明日の俺の対戦相手は大方の予想を覆し、鮫島になった。
明日は絶対に勝つぞ!
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