第55話 新加入メンバー

 アビスギルドとの一件から少し時間が経ち、俺たちの生活は落ち着きを取り戻し始めていた。


 マスコミによる報道が落ち着き始めたからだ。


 俺は模擬戦の相手をしてくれた総一郎さんたちをスカウトしようと思い、会う約束を取り付けていた。


 総一郎さんたちが、ライズギルドのギルドハウスで待ち合わせを希望したので、ギルドハウスで到着を待っている。


 青いスポーツカーが駐車場につく。


 総一郎さんが運転しているみたいだ。


 3人が降りてくる。


「こんにちは。総一郎さん、猿渡さん、近藤さん、来てくださってありがとうございます」


「おう、九条!今日はよろしくな」


 猿渡さんと近藤さんも挨拶を返してくれる。


「お陰様でアビスギルドとの模擬戦に勝つことができました。ありがとうございました」


「いやいや、動画見たけど、完勝だっただろ?あの模擬戦がなくても勝てたと思うぞ」


 総一郎さんがそう言ってくれる。


 俺は本題に入る。


「今日来て頂いたのは、模擬戦の最後に話させてもらったライズギルドへの加入の件です。俺は本気です。今からギルドとしてやりたいこと、現在の状況などを説明するので考えてもらえないでしょうか?」


 3人が話しを聞いてくれるということなので、説明を始める。


 最新の事業内容、ダンジョン運営状況、そしてギルドハウスなどの説明、ギルドメンバーについて説明する。


 あと、俺の個人的な目的も説明する。


 3人は少し悲しそうな表情だった。


 3人とも真剣に説明を聞いてくれ、何個か質問も貰ったりし、質疑応答まで終えた。


「いかがですが?」


 代表して総一郎さんが話す。


「九条、3人とも加入させて欲しい。

 ライズギルドに入れてくれ。

 前々から3人でギルドか何かに入って、また一緒に探索したいなぁと話していたんだ。このギルドなら申し分無い」


 後ろで2人もうんうんと頷いている。


「ありがとうございます。こちらこそ是非お願いします!!」


 俺と3人での模擬戦を終えたあと、話し合いをしたらしく、俺に可能性を感じてくれたみたいだ。


 俺がB級になったら加入について話そうと決めていたらしい。


 俺は評価してもらっていたことが嬉しくなった。


 このあと3人と契約を結んだ。


 一気にB級ハンターが4人となり、大幅な戦力補強に成功した。


 ○


 今日はダンジョン探索部から2名が加入する予定である。


 初日ということで放課後ギルドホームで待ち合わせとしてあるので、到着を待っている。


 2人がやってくる。


「九条くん、よろしくー」


 こちらが山川さん、探索部ではマネージャー的な立ち位置だった魔法使いの女性だ。


「山川、九条くんじゃなくて、ギルマスって呼ばないと!」


 もう1人は小倉こくらさんといい、戦闘職で探索部ではヒーラーをやっていた男性だ。


「九条でいいですよ、先輩達。ギルマスは堅苦しいのでやめてください」


「なら、お言葉に甘えて」


 そう山川さんは笑顔で言う。


 どの役割を担ってもらうかは本人希望と適正を見つつ、じっくり決めていきたい。


 ひとまずは最低限ハンターとしての強さをみにつけるため、ゆうりさんと天霧くんに預けて戦闘訓練を行ってもらおうと思う。


 こうやって、人材が集まってくるような土台ができ始めたのは良い方向に進めている証だと思う。


 もっと信頼出来る仲間を増やしていくぞ。

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