第56話 緊急依頼

 B級に昇級し、B級依頼が受けれるようになったので、依頼を受けにハンター協会を訪れた。


 いつものようにハンター協会の受付横で依頼表を眺める。


 今日はB級の探索依頼が少ないな。こんな日もあるか。


 今日はライズダンジョンを探索するかと思い、帰ろうとした時だった。


 電話対応をしていた小早川さんが叫んだ。


「ダンジョンブレイク発生!

 場所は隣町の廃墟ビルの地下4階まであるC級ダンジョン。

 現在、ダンジョンから低階層のモンスターが出てきており、依頼主と依頼主の家族、および近くにいたE級ハンター2名で対応中!

 深い階層にはオーククラスのモンスターも出現するため、至急応援に行ってください。

 協会がバスを出します」


 俺はすぐに外に出て、協会のバスに乗り込む。


 あの場にいた10人ほどのハンターと協会のスタッフと現場に向かう。


 俺は電話でギルドメンバーに応援を要請する。


 これで何人かは来てくれるはずだ。



 目的地へは10分ほどで着いた。


 オーナーとオーナーの家族、ハンター2名がゴブリンを相手に懸命に戦っているが旗色が悪そうだ。


 ハンターの1人は腕に怪我をしている。


 俺はすぐにモンスターを倒しに向かう。


 10体程のゴブリンをすぐに倒す。


 その間もダンジョンの入口から続々とモンスターが出てくる。


 こうなってしまってはモンスターを全部を倒すしか方法は無い。


 ダンジョンの外での戦闘は建物があったりするため、魔法が使いにくいな。


 ダンジョンの中で戦う方が戦いやすい。


 俺はそう判断すると、ダンジョンの外のモンスターは他のハンターに任せ、ダンジョンに入る。


 ダンジョンの中はモンスターで溢れていた。


 ダンジョンの外へ出たくて仕方ないといった感じだ。


 俺はモンスターの密集地帯にファイヤーストームを放つ。


 炎の柱がたち、周辺のモンスターを焼き払う。


 モンスターが俺めがけて移動し始める。


 外にもハンターは待機しているので、全部を倒す必要は無い。


 低階層はある程度数を間引いたら、下の階へ移動する。


 地下1階へ下りてすぐ、オークの群れを確認した。


 オーククラスのモンスターが群れると危険だ。


 俺はすぐにオークに攻撃を仕掛ける。


 階段を目指してくるため、階段前に陣取り、近づいてきたオークを順番に倒していく。


 オークを大体倒し終わる。


 ここで高槻さん、ヒデキが合流してくれた。


 外には、念の為ゆうりさん、天霧くんが待機している。


 今のところ弱いモンスターが出てくるのみで十分対応できると判断したみたいだ。


 俺たちは更に地下2階へおりる。


 この階もモンスターが多いな。


 俺たちは3箇所にわかれ、モンスターを駆逐していく。


 少しするとモンスターが減ってきた。


 そろそろ終わりが近いか。もう少しだな。


 地下3階へおりようとしたところで、オークキングを中心とした群れが上がってきた。


 このダンジョンで1番強いモンスターだな。


 俺たちは群れに対し、魔法を放つ。

 炎と氷、雷が群れを襲う。


 この攻撃で半分程度を倒すことが出来た。


 次の瞬間、オークキングが突進してくる。


 これをヒデキが盾で受け止める。流石だな。


 高槻さんが横から攻撃し、ダメージを与える。


 俺は周りのオークを倒していく。


 オークを全て倒し終えた所で、高槻さんのアイスソードがオークキングの首を落とした。


 これで強いモンスターはあらかた倒したはずだ。


 念の為、地下4階まで確認したが、モンスターはいなかった。


 俺たちは地上へ戻る。


 地上へ戻ると、外の戦いも終わっていた。


 負傷者としても、最初に応戦していたハンター2名が軽傷を負った程度で済んだようだ。


 俺たちは依頼者から感謝された。


 依頼者に話しを聞くと、ハンター協会にモンスター退治を依頼していたが、依頼資金の捻出が厳しくなり、だんだんモンスター退治の頻度が減ってしまったみたいだ。


 そうなんだよな。


 危険度の高いダンジョンなら、ギルドの管理対象になることが出来、土地の所有者に特に負担は無い。


 ただ、C級ダンジョンだとギリギリ管理対象から外れ、しかも自分でモンスターを倒すのが厳しいレベルの場合が多い。


 依頼のためのお金も馬鹿にならない。


 ダンジョン運営も簡単ではないため、今回のような事態が起きる。


 今回はハンター協会から距離が近かったから応援が間に合ったが、全部がそう上手くはいかない。


 俺はこの現状を変えたいと思っていた。

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