第95話 探索 ライズダンジョン 地下17階

 ライズギルドのハンター全員でライズダンジョンを探索している。今は地下17階を目指し、地下16階を移動中だ。


 先程はこの階のボスモンスターといってもいいオーガキングをヒデキがサンダーランスで倒した。


 それを見ていた天霧くんが興奮気味にヒデキに話しかけている。


「ヒデキさん、さっきの技カッコ良かったです!僕も早く自分だけの技を身につけたいです」

 

「そうかい?ありがとう。天霧くんも努力していればそのうち身につくさ」


「はい!頑張ります!!」


 常に上を目指すメンバーばかりで本当に心強い。


 地下17階への階段に到着する。


 ここでヒデキから声を掛けられる。

「レン、次の階は寒いから、ここで防寒具を着るといい」


「あぁ、雪原のエリアだったよね。

 情報が無かったら相当厳しいことになるね」


「私達も最初は大変だった」

 かれんさんが呟く。


 各自防寒着を羽織り、地下17階へ降りる。


 そこは一面の銀世界だった。本当ダンジョンの中は不思議な空間だな。


 防寒着を羽織っているお陰で何とか耐えれる寒さだ。初見でこれは厳しいな。


 俺たちは慎重に進んでいく。


「この階はイエティが出没するよ。

 白い体毛に体が覆われているモンスターで、この雪でもかなり俊敏に動けるから厄介だったよ」


 ヒデキが説明してくれる。


 この雪原でも速く動けるのは脅威だな。

 遠距離攻撃でどれだけダメージを与えられるかが鍵だな。


 俺たちは雪原を少し進むと、辺りにモンスターの気配が現れる。前方に3体反応がある。


 たしかにこの雪原でも結構な速さで移動している。


 俺はファイヤーストームを気配のうちの1つに放つ。

 火柱があがるが、致命傷にはならなかったらしい。少し狙いが外れたな。ただ、火系の魔法は結構効いているようだ。

 実際すぐにでも飛びかかってきそうな雰囲気だったが、ファイヤーストームを放った後、警戒しているようである程度の距離を保っている。


 距離を保ってくれるなら好都合だ。


 イエティがある程度1箇所に集めるようにウインドカッターで威嚇する。


 よし、それなりに集まったぞ。


 俺達は魔法での攻撃を開始する。


 ヒデキと小鳥遊さんの雷魔法、瑠衣さんの水魔法、茅森さんの土魔法、そして俺のファイヤーストームがイエティ達に襲いかかる。


 魔法がイエティ達をのみこみ、爆発が起きる。

 1体は倒すことが出来たが、2体はまだ生きている。こちらに向かってくるがだいぶ動きが緩慢になっている。ダメージが大きかったようだ。


 2体に対し、天霧くん、かれんさんが対応する。2人が2体のイエティに斬り掛かる。どちらの剣もイエティを切り裂いた。


 これで3体を倒すことが出来たが、毎回これだとMPの消費が激しいな。次は2対1に持ち込んで、近接戦闘で対応してみるか。


 向こうに1体の気配がある。

 近づいていくとイエティが1体で佇んでいた。今回は俺とかれんさん2人で相手をする。魔法は無しで剣術のみでどうなるかを試してみるか。


 まずは俺が近づき、後ろにかれんさんがついてくる。


 剣の届く範囲に入った瞬間にイエティに斬り掛かる。足場が悪く、狙いが少しズレてしまい致命傷を与えられない。

 イエティの回避行動も素早い。


 俺の攻撃の合間にかれんさんが斬り掛かる。イエティも反撃してくるが、かれんさんはうまく捌く。


 数分の攻防で1体を倒すことが出来た。


 やはり魔法を使わないと効率が悪いな。

 そこからはメンバー全体で魔法を絡めつつ、イエティを倒していく。


 イエティを倒し切ったところで少し休憩をする。


 瑠衣さんと小鳥遊さんが話している。

「ちょっと苦戦したね」


「そうですね、やっぱり雪原エリアは慣れてないですね」


 そこへヒデキが入っていく。


「前回よりかなりスムーズな方だよ。

 前はもっと苦労したからね」


「そうね、苦戦した」

 かれんさんも呟く。


「いよいよ地下18階だね。次はどんなモンスターが出るの?」

 俺はヒデキに聞いてみた。


「次の階は主にミノタウロスが出てくるね。あとは…レッドドラゴンがいるよ。

 前回は疲弊していたのもあるけど、レッドドラゴンは倒せずに進んだよ」


 そうか、レッドドラゴンか。ロックドラゴンとは違い、本物のドラゴンだ。


 炎のブレスを吐き、空も飛べる。上空からブレスを吐かれると厄介だな。


「ただ、今回はフルメンバーでそこまで疲弊もしていないからね。勝てると思うよ」

 ヒデキが言うと、


「私もそう思う。絶対勝てる」

 かれんさんも続く。


「そうだね、ライズギルドに倒せない相手はいないよ」

 俺は皆に向かって言う。


「レッドドラゴンを倒して地上へ戻ろう」


 皆が頷き、休憩を終え、歩き出す。

 レッドドラゴンか、楽しみだ。総力戦になるかもしれないな、気を引き締めていこう。

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