第96話 探索 ライズダンジョン 地下18階

 地下18階は前回の探索で社会人パーティーが倒せなかったレッドドラゴンがいる。


 空も飛べ、口から炎のブレスを吐くことが出来る正真正銘のドラゴンだ。


 ブレスも厄介だが、空を飛べるのが面倒だな。場合によっては、追い詰めても蒼空に逃げられて終わりになってしまう。


 俺は地下18階への階段に向かって歩く中、レッドドラゴンへの対処法を考えていた。


「いい案浮かびそう?」


 瑠衣さんが聞いてきた。


「どうですかね?実際に対峙してみないとなんとも言えないですね」


「そうだよね。でもライズギルドに入ってみて実感するけど、皆の蓮くんへの信頼感が途轍もなく大きいことを感じたよ。蓮くんならやってくれるって」


「そうですかね?そうなら応えれるように頑張ります」


 少し話したあと俺は再度思考に入る。


 数分歩いたところで地下18階への階段に着き、階段を降りる。


 地下18階は渓谷けいこくエリアであり、ここなら飛ばれても何とかなるかもしれない。

 山の谷の間を川が流れており、俺たちは川の横を進んでいく。


 岩陰にモンスターの気配があり、ミノタウロスが姿を現した。


 1体に対し、4人パーティーで対応する。

 ミノタウロスといえども、数分で倒すことが出来る。


 ある程度のミノタウロスを倒したところで、急に辺りが暗くなる。上をを見ると、そこにレッドドラゴンがいた。


 15mを優に超える巨体で皮膚は赤色、獰猛そうな顔がこちらを見ている。


 一瞬ニヤッと笑ったような気がした。


 すると、レッドドラゴンが上空から一気に降下してくる。


「皆、散開さんかい!!」


 上空からレッドドラゴンが強襲をかけてきた。後衛職を守りつつ、距離をとる。

 レッドドラゴンの足が地面にめり込む。

 あれをくらったらひとたまりもないな。


 俺とかれんさんと総一郎さん、ゆうりさんの4人で近接戦闘を仕掛ける。


 他のメンバーは少し離れた所から魔法や弓で応戦する。


 剣や槍で攻撃してみた感触として、レッドドラゴンの皮膚はかなり硬く、簡単にはダメージを与えられそうにない。

 腹なら剣は通りそうだがそこは攻撃を受けないようにケアをしているようだ。


 魔法もそこまで効果的では無い感じだ。


 俺は攻撃する箇所を胴体から翼に変更する。


 総一郎さんとゆうりさんにレッドドラゴンの注意を引いてもらう。その隙に俺とかれんさんは背後に回り込む。


 かれんさんに注意が向きそうなった瞬間、レッドドラゴンの頭を魔力の矢が掠める。

 流石くんナイス!


 俺とかれんさんは左右の翼に攻撃を加える。よし、ここなら剣が通るぞ。


 グォアアアァァ!


 レッドドラゴンが怒り、尻尾を振って攻撃してくる。


 ゆうりさんが尻尾を盾で受け止める。ギリギリ踏ん張れたようだ。


 総一郎さんが尻尾に斬り掛かり、尻尾に傷ができる。


 俺とかれんさんは翼の傷口に向かって魔法を放つ。これなら効くはずだ。


 フャイヤーストームと氷魔法がレッドドラゴンの翼を襲った。

 これで翼はすぐには使えないはずだ。


 次の瞬間、レッドドラゴンの口に炎が見えた。まずい。ブレスがくる。


 俺とかれんさんはレッドドラゴンから距離をとる。

 レッドドラゴンの口から炎が吐かれる。

 ファイヤーストームと似たような炎がこちらに迫るが、ギリギリ躱すことが出来た。


 ブレスを吐き終えたタイミングを狙い、小鳥遊さんが口めがけて雷魔法を放つ。


 うまく口の中に入ったようでレッドドラゴンにかなりのダメージを与えることが出来た。


 あとはブレスに気をつけつつ、対処していく。

 十分に安全マージンをとりつつ、攻撃を仕掛ける。攻め急がず、ただレッドドラゴンに回復の猶予は与えずに攻撃していく。


 これを30分ほど繰り返す。


 レッドドラゴンも少し動きが緩慢になってきている。限界が近いな。


 俺は隙を見つけ、腹に攻撃を仕掛ける。

 ここもダメージが入るな。


 レッドドラゴンに反撃のタイミングを与えないように更にかれんさんとコンビネーションで連続攻撃を加えていく。


 レッドドラゴンが堪らず翼をどうにか動かし上空へ逃げ出した。俺たちはそれを見送る。


 レッドドラゴンはこちらの追撃がないことに安堵したようだったが、甘いな。


 上空に上がっていくレッドドラゴンだったが、上空へ逃げることを優先したため、山の近くを飛んでいる。


「おやおや、逃げ出すのは少し格好悪くないかい。下へ帰りたまえ」


 ヒデキに山の頂上に待機してもらっていた。


「サンダーランス!!」


 ヒデキの槍がレッドドラゴンを貫く。レッドドラゴンは雷に撃たれたように焦げつき、地上へと落ちていく。


 落ちてくるレッドドラゴンに対し魔法での集中砲火を浴びせる。

 レッドドラゴンに反撃する余力は無かった。地面に落ちた所で俺はファイヤーソードを唱え、レッドドラゴンの首を切り落とした。


 戦いが終わった。


 レベルが上がった。


 九条 蓮

 レベル : 32

 HP : 135

 MP : 127

 攻撃力 : 103

 防御力 : 102

 素早さ : 87

 魔力 : 88

 運 : 86

 スキル : 【気配察知】【剣術+】【気配遮断】【盾術+‪】【身体能力強化+】【シールドカウンター】【ソードスラッシュ】【狂人化】

 魔法 : 【ファイヤーボール】【ヒール】

【ファイヤーソード】【ウインドカッター】【ファイヤーシールド】【ファイヤーストーム】

 称号 : 【ダンジョンの管理人】


 メンバー全員がレベルアップしたようだ。


 定期的にこのレベルのモンスターを倒していくのが効率的なのだろうが、毎回フルメンバーは集まれないし、難しいところだ。


 レッドドラゴンの素材を採取する。

 またりょうさん達に良い装備を作ってもらえそうだ。


 少し休憩したら最後の地下19階へ向かうぞ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る