第69話 ビッグプロジェクト始動

 スレイヤーズギルドを傘下におさめてから1ヶ月が経ったが、今のところ大きな問題は無くやれている。


 八雲さんがうまく運営してくれており、助かっている。


 進めている事業の方も順調に進んでいる。

 ダンジョン運営のところは、清水商店に入ってもらい計画を練っている。


 惣次さんに相談したら、かなりやる気になってくれ、広い土地を活用し、ハンターの集まる複合施設でも作るかと息巻いている。


「お父さん、最近張り切っているのよ。また面白いことができそうだって」

 亜希さんにそう言われる。


 惣次さんがそこまでやる気なら俺も気合いを入れないとな。


 実際土地がかなり広いため、やりたいことが出来る。


 毎日惣次さんと施設について話し合う。

 ハンター向けの複合施設というのはあまり前例がなく、できたら話題になると思う。



 取得したダンジョンの探索とダンジョンを使ったメンバーのレベルアップも予定通り行っている。


 4つのダンジョン全てが地下15階層より深いため、全ての探索にはまだ時間が掛かるがコツコツ探索エリアを広げていっている。


 これはスレイヤーズギルドのメンバーのみでおこなっており、佐伯さんをリーダーにうまくローテーションを組みつつやっている。


 今まで佐伯さんは後進の指導とかはそれほどやってこなかったようだが、積極的にやって欲しいとお願いしてある。


 今のところ良い方向に向かっているようだ。このまま戦力のレベルアップを図りたい。


 ○


 複合施設のアイデアについて、だいぶ煮詰まってきたのでライズギルドのメンバーにもアイデアが無いか聞いてみる。


「ハンターの複合施設にあったら嬉しいものかー、中心にはダンジョンがあるって事ね」


「レストランみたいなところはあると良いよねー」


「泊まれる場所もあると良いのかなー」


「真面目に行くと、トレーニングジムとかかなー」


「ハンターが必要なものが全部この施設で手に入ったら便利だよね」


 みんな色々な意見を出してくれる。

 ハンターが欲しいもの全部か。キーワードとして良いかもな!もう少し考えてみよう。


 結局ダンジョンを中心に据え、ハンターの需要を想定したモールを作る計画になった。


 中にはいるテナントも清水商店のハンターショップや宿泊施設、トレーニングジム、レストラン街、マッサージ店といった店舗から、一般の人の利用も想定したスーパーや書店、服屋も入る計画だ。


 モールを作るとなると大量のお金が必要だが、清水商店と今回は雷光グループとして出資したいとヒデキから申し出があり、それを受け入れたため、資金問題は解決した。


 ここから建築業者との話しなどをつけていく。雷光グループの建築会社にお願いするため、担当者と話しをしていく。窓口担当はヒデキにお願いした。

 ざくっとした工期は1年程度となる長期プロジェクトだ。

 ダンジョン運営は簡易的な受付などを作り、先行して始めていこうと思う。

 清水商店のショップもプレハブで作っていく。

 モール完成が楽しみだ。


 この計画をスレイヤーズギルドの月一全体ミーティングで共有する。

 概要を話した際に会議室は静寂に包まれた。

 どう反応したら良いのかわからない感じだ。


「凄い計画だな」

 誰かが言うと周りに伝播していく。


「前の幹部の連中よりも、凄い動いてくれているな」

「期待が持てるかもな」

 前向きに捉えてもらえたようだ。

 もっとメンバーの期待を超える働きを見せていかないとな。


 ○


 モール建築を計画して進めていく過程で行政への申請など色々な手続きがある。


 申請をするために役所へ出入りする中で、担当者とも顔見知りになっていく。


「九条さん、こんにちは」

 受付の方なら挨拶される。俺も挨拶を返す。


「本日ですが少しお時間ありますか?

 実は上の者が九条さんと話してみたいらしく、よろしければお会いしていただけないかと」

 多くの人と繋がりを持っておくことが必要だと感じており、すぐに会いますと伝えた。


 会議室に通され、10分ほどして年配の方が部屋に入ってきた。


「九条さん、初めまして。市長の門脇です。いやー、いつかお話したいと思ってました。今日お会いできて良かった」


「初めまして。九条です。こちらこそお会いできて光栄です」


 話しを聞くと、門脇さんのお孫さんがダンジョン探索の動画をみて、俺のファンになったらしい。


 その影響で門脇さんも俺に興味を持ってくれたみたいだ。


「地域のために様々な活動をしてくださってありがとうございます。何か困ったことがあったら力になりますので、今後ともよろしくお願いしますね。

 あと、申し訳ないですがサインをお願いできますか?」


 サインはあまり書いたことがなかったが、お孫さんに渡したいとお願いされると断りづらく、色紙に名前を書いて渡した。


 門脇さんは色紙を受け取り、孫が喜びますと嬉しそうに話す。


 数日後、門脇さんよりお孫さんがサインを凄く喜んでくれたというお礼の電話がギルドに掛かってきた。


 また知り合いの政治家から九条さんを紹介して欲しいという依頼があり、どうだろう?と聞かれたので、


「お願いします!」

 とすぐ返事をした。


 地域を動かすには政治家の人の力は必須になってくる。

 少しずつ人脈を広げていくしかない。

 地道にやっていこう!

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