第68話 スレイヤーズギルドの内情

 最近は放課後になると、ライズギルドのギルドホームではなく、スレイヤーズギルドのギルドホームへ行くことが増えている。


 それによってライズギルドのメンバーと会う頻度が減っており、高槻さんとかは文句を言ってきている。


 スレイヤーズギルドとうまく付き合っていけるかが非常に重要になるため、ここは理解して欲しいと伝えている。


 八雲さんに任せたら?という意見もあった。八雲さんのことは信頼しているが、ある程度は自分の目でも確認しておきたい。

 俺は総一郎さん、猿渡さん、近藤さんと一緒にスレイヤーズギルドの各事業の査察を行う日々である。


 ○


 スレイヤーズギルドへの査察で分かったことがある。

 良くも悪くも以前のギルドマスターと幹部は現場にそれほど干渉しなかったらしい。

 なんと言うか事業の進め方に一貫性が無く、行き当たりばったりな印象を受けた。

 現場の人もそれで伸び伸びやれているのかというと、決してそうではなく、探り探りやっていた。

 まだ数箇所みただけだがそんな印象を持った。

 それは橋本さんと話した際に確信に変わった。

 基本的に事業計画は現場のメンバーが書いて、上からギルド全体の計画がおりてきたことは無かったという。

 逆にそれで今までよくやってこれたなと思う。以前はあったが代替わりして出すと聞いていたが、結局出なかったようだ。


 これはやりがいがあるなというのが率直な感想だ。他のメンバーも同じ印象を受けたそようだ。

 八雲さんは協会時代に仕事の付き合いがあったため、何となく察していたようだ。

 各分野の実力がだいたい把握できた。


 そこから俺と八雲さんで急ぎスレイヤーズギルドの今年の残りの目標を立てていく。


 生産系の事業は思ったよりうまくやっている。ここは橘さん達に入ってもらい、更に伸ばしていきたい。


 もう少しといった感じなのが、戦闘職の探索のところだ。ここはメンバーの実力をもう1つ上に持っていくことで解消したい。


 あとはダンジョン運営にもチャレンジしてもらうつもりだ。保有するダンジョンがあると色々とやれることが増える。

 とりあえずギルドホームの周辺のダンジョンを調査してもらう。


 ○


 ダンジョンの調査結果がでた。


 スレイヤーズギルドのギルドホームのすぐ近くではないが、少し離れたところにダンジョンが4つ密集しているところがある。

 4つとも下級ダンジョンで、深くても地下4階のため、見向きもされないタイプのダンジョンだ。


 確認すると所有者の方達は、いつ周りのダンジョンでダンジョンブレイクが起きてしまうか怯えた日々を過ごしているそうで、すぐにでも譲渡してもらえそうとのことだ。


 俺は八雲さんと相談し、ライズギルドでダンジョンを保有した後に、運営をスレイヤーズギルドに委託する方向で話しを進める。

 この案件も近藤さんにお願いした。


 ○


 近藤さんにダンジョン譲渡の交渉を依頼し、数日が経過した。


 交渉が進み、無事4つのダンジョン全てをライズギルドで保有することになった。

 ひとまずダンジョンの様子を確認しに行く。

 近藤さんとスレイヤーズギルドのC級ハンター3人を連れていく。


 スレイヤーズギルドの所有車でダンジョン近くまで移動する。

 ダンジョンの近くに着くと、もともとは色々な店舗が集合していた施設のようだった。

 敷地はかなり広いな。


「この土地全部ですか?」


「全部です」


 これはかなりの開発が出来るぞ。

 清水商店に話してここにもショップとか色々な施設を展開するのも面白そうだ。惣次さんに提案してみよう。


 俺たちは1番手前のダンジョンに入る。

 ここは地下2階までしかないはずだが、実際は地下17階まである。今日は地下が拡張されていることだけ確認し、後日ギルドメンバーに探索してもらうことにする。


 2、3、4番目のダンジョンも地下が拡張されていることを確認できた。あとはスレイヤーズギルドのメンバーにお願いした。


 これが軌道にのれば、入場料も得られるし、メンバーの自己研鑽も出来るようになる。

 スレイヤーズギルドも再成長させられるかもしれない。俺は更にやる気が湧いてきた。

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