第67話 攻城戦の後始末

 スレイヤーズギルドとの攻城戦に勝利したことでスレイヤーズギルドを傘下におさめることになった。

 今その契約をしているところだ。スレイヤーズギルドからはギルドマスターである間宮(兄)と幹部6名が出席している。

 こちらは俺と総一郎さんと契約書類に詳しいため瑞希さんが出席している。


 契約内容の再確認と署名を行い、契約していく。


 間宮(兄)が震える手で契約書に判をした。契約完了だ。


「はい、ありがとうございました。」

 瑞希さんが契約書類をみて問題ないことを確認した。


 これで正式にスレイヤーズギルドはライズギルドの傘下ギルドとなった。

 早速ギルドマスターと幹部をスレイヤーズギルドのメンバーに紹介しないとな。

 俺は佐伯さんと橋本さんに明日ミーティングを開くことを伝える。場所はスレイヤーズギルドのギルドホームだ。


 間宮(兄)へはギルドマスターから通常メンバーへの降格か嫌なら脱退の2択だと伝えてある。幹部からおりてもらう6名へも同じように伝えた。


 ○


 次の日、スレイヤーズギルドのギルドホームへ行く。メンバーは俺と総一郎さん、猿渡さん、近藤さんの4名だ。

 スレイヤーズギルドのギルドホームはライズギルドから車で30分位のところにある。猿渡さんの運転で向かう。

 ギルドホームへ着くと、佐伯さんと橋本さんを先頭にギルドメンバーから迎えられる。

 結局、間宮兄弟と幹部6名は降格は受け入れ難いということで脱退していった。

 スレイヤーズギルドからギルド規定に則って脱退金が支払われた。これで運営しやすくなるな。


「今日からよろしく頼みます」

 佐伯さんに言われる。


「こちらこそよろしくお願いします。

 佐伯さん、橋本さんには色々やってもらわないといけないので。

 そう言えばあの人ってもう着いてます?」


「もう到着されて会議場に入られています」

 橋本さんが答える。


 俺たちはギルドホームに併設される大会議場に案内される。凄いな、こんな会議場まであるのか。


 中に入ると外せない用がある人以外は出席しており、200名以上が集まっていた。


 時間となったのでミーティングを始める。

 司会から紹介され、俺たちは壇上にあがる。


「皆さん、はじめまして。ただいまご紹介にあずかりましたライズギルドのギルドマスターの九条 蓮です。

 昨日の攻城戦の結果、本日よりスレイヤーズギルドはライズギルドの傘下ギルドとなりました。

 またギルドマスターと幹部4名をライズギルドから派遣します」

 ここで会場からざわめきがあがる。


「皆さん安心してください。我々はスレイヤーズギルドを乗っ取るつもりはありません。我々ライズギルドと共に地域の安全を守ることに協力してほしいだけです。今雇用されている方との契約も変更はありません」

 俺がそう宣言するとざわめきは小さくなる。


「では、早速派遣するギルドマスターと幹部を紹介します。幹部はわたし九条と八木、猿渡、近藤の4名となります」

 順に立ち上がり礼をする。


「最後にギルドマスターの八雲です。

 では、八雲から挨拶がありますので、お聞きください」


 八雲さんが壇上にあがる。


「八雲って協会の支部長だった八雲さんか!?」

「ライズギルドの所属になってたのか!?」


 八雲さんが外野の声を遮るように話し出す。

「八雲です。本日よりギルドマスターの大任を承りました。

 少し前までハンター協会の支部長を務めていましたのでご存知の方もいるかもしれません。スレイヤーズギルドの成長に全力を尽くしますのでよろしくお願いします」


 挨拶が終わり、少しだが拍手が起こり、少しずつ大きくなっていく。やはり元ハンター協会支部長の知名度は大きかったようだ。


 その後、ほかの幹部の変更も伝える。

 佐伯さん、橋本さんに幹部となってもらいライズギルドとの橋渡しをお願いする。この内容へは大きな反発は無さそうだ。


 佐伯さんとは、攻城戦の後に話をした。

 最初はギルドを辞めるつもりだったところを残ってもらい、ギルドの立て直しに尽力してもらえることとなった。

 佐伯さんが幹部にいることはスレイヤーズギルドのメンバーにとって、とても意味のあることだと思う。


 ミーティングを終えた後、俺はスレイヤーズギルドの幹部を集め、今後の方針を共有する。

 まずはライズギルドの方針を佐伯さん、橋本さんに伝える。そして、スレイヤーズギルドにはその道のりでの手助けをして欲しいことを伝える。


 双方が展開する事業を共有し、一緒にやることで利益が増えたり、効率が良くなったりする所を探していく。

 あとはダンジョン運営はライズギルド近くでしか人手の関係で出来なかったが、今後はスレイヤーズギルドの近くでも出来るようになるのは大きい。


 スレイヤーズギルドとうまく相乗効果を出せれば、今後の規模拡大のスピードも格段に上がると思っている。年内はスレイヤーズギルドの現状把握だったりに力を入れないと行けないだろうな。


 あと八雲さんがスレイヤーズギルドのギルドマスターになったことはハンター協会に伝わるので警戒されるだろうな。

 ただもうスレイヤーズギルドを傘下に迎えたライズギルドは県内でも3本の指に入る。協会といえど簡単には手が出せなくなっているはずだ。

 更に成長を加速させていくぞ。

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