第9話 ギルドからの勧誘
昇級試験のあとに男性に声を掛けられ、近くの喫茶店に入った。
お互いにアイスコーヒーを注文し、自己紹介が始まった。
「お時間いただきありがとうございます。
わたし〈スレイヤーズギルド〉スカウトの橋本と言います。
先程の模擬試験を拝見しまして、是非九条さんにうちのギルドに加入していただけないかと思いまして」
予想外にギルドの勧誘だった。
確かにD級からギルドに勧誘されるようになる話は知っていたが、まさか自分に来るとは思っていなかった。
契約の内容等を聞き、悪くは無いと感じた。
ただ他にもギルドは多数あることと、ギルドに加入するとメリットは大きいが、同時に制約も発生する。
基本ギルドのダンジョン探索に参加要請があれば参加しないといけない。
俺としては現状ソロでうまくやれており、パーティーを組むメリットが薄いと思っている。
検討しますと橋本さんに答え、喫茶店をでる。
まだ時間に余裕があったため、防具を買いに清水商店へ向かう。
店番をする清水さんをみつけ、声をかける。
「こんにちは。防具を見に来たので、アドバイスもらえると助かる」
「こんにちは!!来てくれてありがとう、九条くん。防具の予算はどれくらい?」
清水さんが笑顔で聞いてくる。
「15~20万くらいかな?盾と鎧セットでお願いします」
「かしこまりました!少々お待ちください」
そう言うと清水さんはうーんと考え、盾と鎧を数セット出してきてくれた。
試着し、動きやすさなどを確かめる。
15万円で鋼の盾と胸当てを購入することにした。
ここより上のレベルの防具は一気に値段が上がっていくな。
もっと稼いでいかないと。
考え事をしていると、清水さんに話しかけられた。
「この前言ってたダンジョンの一般開放の件だけど、うちのお父さんに話したら興味があって、一度話したいみたい。いま丁度時間あるみたいなんだけどどうかな?」
連絡先を交換して以来、それなりに連絡をとっており、ダンジョンの件などを相談していた。
清水商店ならなにか伝手とかあるかなと思ったからだ。
清水商店の建物の2階の応接室に案内される。
少しの間清水さんと話していると、男性があらわれた。
清水さんの父親だ。
話をしていくと清水商店としてダンジョンの運営に進出する話が前々からあって候補となるダンジョンを探していたらしい。
実家のダンジョンは候補となり得るとの事だった。
正式には調査をしてからだが、ある程度具体的な話が聞けた。
最初の話では俺個人として清水商店に運営を委託するという清水さんの父親から提案された。
俺としては、今後の事業拡大も狙いつつ会社かギルドを設立して、そこが清水商店と提携はどうかと提案した。
これには驚かれたがそれも有りだねということだった。
会社は直ぐに設立できるが、ギルドの場合はC級ハンター以上でないと設立出来ない。
ダンジョン関連の事業をやろうとすると、色々優遇があるギルドの方が良いようだ。
俺がC級に上がるタイミングでギルド設立、業務提携という話で大枠合意した。
ダンジョンの調査は早ければ1週間以内にできるそうだ。
清水さんの父親からは娘と仲良くしてやってくれと言われ、亜希さんが顔を赤くしていた。
「ビジネスパートナーの娘さんですからね、仲良くしますよ」
俺はそう答えた。
「そういうことじゃない~」
亜希さんが少し怒り出した。何故だ。
父親はそのやりとりをみて、笑っていた。
亜希さんと亜希さんの父親にお礼を言って店を出た。
ダンジョン管理の方向性が決まって良かった。
俺としては次の目標がC級ハンターということで依頼をどんどんこなしていく必要が出てきた。
確かC級へはD級レベルの依頼達成20件と昇級試験の合格が必要だったはずだ。
また明日から依頼をこなしていくかな。
スカウトを受けたスレイヤーズギルドへは断りの電話を入れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます