第10話 探索 D級管理ダンジョン(1)

 D級に上がってから1週間が経ち、俺はC級に昇級するため、精力的にハンター協会の依頼をこなしていた。


 D級の依頼の間に溜まったE級の依頼もこなした。


 基本的に自分の等級の依頼をこなすのが普通だが、他のハンターが敬遠する依頼のため、むしろ協会の関係者からは感謝された。


 やはり依頼が達成されず溜まっていくと依頼者からのクレームにも繋がってしまうようだ。


 D級依頼といってもE級に比べ特別難易度が上がるわけではなかった。


 ダンジョン探索で出てくるモンスターは、実家のダンジョンでも戦ったことがあるモンスターが殆どで、問題なく倒せた。


 この期間でレベルは2つあがり、新たな魔法を覚えた。


 九条 蓮

 レベル : 12

 HP : 51

 MP : 45

 攻撃力 : 35

 防御力 : 34

 素早さ : 22

 魔力 : 21

 運 : 22

 スキル : 【気配察知】【剣術】【気配遮断】【盾術】

 魔法 : 【ファイヤーボール】【ヒール】

【ファイヤーソード】

 称号 : 【ダンジョンの管理人】


 ファイヤーソード : 剣に炎を纏わせ、攻撃力がアップする。


 ファイヤーソードか。


 使っている間、純粋に攻撃力がアップするのは助かるな。


 D級依頼を10件程こなした所で、今回は協会の管理ダンジョンの探索依頼を受けた。


 内容は協会の管理ダンジョン探索のポーターだ。


 本来C級以上から募集されていた依頼だが、ポーターはD級以上となっており、経験のため応募した。


 協会の管理するD級ダンジョンを地下10階まで探索し、マッピングすることが目的だ。


 地下10階までマッピングしつつとなると1日では終わらず2日間の探索となる。


 ダンジョン内での野宿の方法など講習で習ってはいるが、経験がものをいうので実戦で学ばせてもらおう。


 朝早くからハンター協会に集合し、自己紹介の後、今回の探索の予定などをすりあわせた。


 メンバーはスレイヤーズギルドのパーティーが主でそこにスポット参戦がちらほらいる感じだ。


 全員で8名のパーティーとなる。


 スレイヤーズギルドのメンバーは皆C級ということで、今回のダンジョンの難易度からみて問題ないとのことだ。


 スレイヤーズか、スカウトを断っているから少し絡みづらいな。


 自己紹介した時も向こうのリーダーが少し反応していた。


 探索中に何事もなければ良いけど。


 ポーターが運ぶ荷物を確認する。


 野営用のテント、寝袋など一式だ。


 これを背負っての探索となる。まぁ戦闘は参加しないため特にきつくもない。


 ポーターが俺ともう1人いて、そっちは水や食料などを運ぶ係だ。


 帽子を深く被っていて、下を向いており顔もイマイチわからない。


 2日間だけだが同じポーター仲間のため、一応挨拶をした。


「同じポーターですよね?九条蓮です。よろしくお願いします」


 そいつはこっちを少しみて、


「…よろしく」


 それだけ言うと、また下を向いた。


 まぁ仲良くならないといけないわけじゃないから良いんだが、少し凹むな。


 少し時間がたち、ダンジョンへ出発となった。協会の管理ダンジョンということもあり、協会手配のバスに乗ってダンジョン入口まで移動する。


 バスは協会をでて、市街地を抜け、山の方に向かっていく。1時間ほど走ったところでバスは停車した。


 山のふもとの開けた所にバリケードが張られており、入口に人が立っている。ギルドの職員のようだ。


 今回の探索のリーダーが職員にダンジョンへの入場証をみせ、中に入っていく。


 俺もあとに続いていく。


 低層階ではスレイヤーズギルドのメンバーがモンスターを一撃で倒しており、マッピングは順調に進んでいる。予定通りだ。


 地下6階辺りから一撃では倒せないオークなどのモンスターが出てきた。


 まだポーターが攻撃されるなどの被害は無いが用心しておこう。


 少し前衛と後衛の連携がチグハグな時がある。


 そんな不安は的中した。


 地下7階で、あと少しで野営ポイントに到達するところで戦闘となった。


 オーク2体とワーウルフ3体を相手にした際に、前衛のブロックの隙をつきワーウルフが突破してきた。


 運悪くそこにもう1人のポーターが立っていた。


「えっ!」


 そいつは棒立ちの状態で対応できていない。


 ワーウルフは飛びかかり、そのままだと首元を噛みつかれる。


 仕方ない。


 俺はファイヤーボールを唱え、ワーウルフを倒した。


「ピンチのようなので俺も参戦しますよ。リーダー、良いですね?」


 俺がそう言うと、リーダーは一瞬考えたが首を縦に振った。


 俺は荷物をその場におろし、モンスターを一撃で倒していく。


「すごい…」


 さっき助けたポーターの声がした。


 全部のモンスターを倒したところで、後ろから声が掛かる。


「あの、さっきは助けてくれてありがとう」


 あのポーターだ。


「わたしは仁科にしな双葉ふたばです。最初の挨拶の時、態度悪くてごめんなさい。ポーターに対して態度が悪い人が多いから探索中はなるべく人と接しないようにしてたの」


 そう言うと彼女は深くお辞儀をした。


 帽子を深く被っていた時はわからなかったが、儚げな感じの少女だった。


 年は俺と同じくらいかな。


「別に気にしてないよ。あんな感じなのは慣れてるから」


 俺がそう答えると、仁科さんは少し悲しそうな顔をした。


 俺、変なこと言ったかな。


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