第8話 D級ハンター昇級試験
今日は午前バイトで、午後から昇級試験がある。
バイトは今日が最終日だ。
これからはハンター活動に時間を掛けられる。
バイトを終え、昼食を食べたあと、ハンター協会へ向かう。
受付を済ませ、指示された訓練施設へいくと30人ほどの人が既に待っていた。
夏休みでD級へ上がろうとする学生が多い印象だ。
ただ殆どが大学生といった感じで高校生は少なそうだ。
少し待っていると試験官がやってきて話し出した。
「俺は今日の試験官を担当するB級ハンターの八木だ。早速試験の内容を説明する。
前衛で戦う者は俺との模擬戦をやってもらい、3分間耐えれれば文句なしで合格だ。
耐えれなかった場合も途中の動き次第で合格も有り得る。
まぁ心配するな。C級ハンターのヒーラーも待機してる。骨折くらいならすぐ治してくれるぞ。そっちも俺を倒す気で来い。
後衛の者はさっき話したヒーラーが試験官となり、魔法やスキルあとは後衛としての近接戦闘の能力をみる。」
これを聞き、軽い気持ちで受けていた参加者はざわつき始めた。
ハンターなんだから骨折くらいどうってことないだろう。
今更だな。俺は特に何も思わず、説明を聞いていた。
「あなた全然動じないのね?」
急に隣から話しかけられた。
そこには蒼い髪の女性がいた。
俺より少し年上という印象だ。
「E級と言えど、もうハンターですからね。骨折くらいでビビっていたらダンジョンなんて潜れないですよ」
俺は素直に思っていることを言った。
「そうね、でも学生ハンターの子達は危険性の低い依頼しか経験してない子も多いのよ。普段はチームでダンジョン探索していて1対1とか経験ない子もいるでしょうね」
彼女は少し心配そうな表情でそう言った。
「まぁ、怪我しても私が治してあげるから心配しないで。わたしは八木ひなたよ。C級ハンターでヒーラーよ。よろしくね」
自己紹介されたのでこちらも返す。
「九条蓮です。高校生です。よろしくお願いします」
「みんな、貴方くらい覚悟をもってくれるようになるといいんだけれど。急に声掛けてごめんなさい。じゃあ試験頑張ってね」
そう言って八木さんは離れていった。
試験が始まり、次々と参加者が試験官に倒されていく。
10人ほど挑戦したが合格者はいない。
もうすぐ俺の番だ。
順番がきたので闘技台にあがる。
対峙するとわかるな、さすがB級ハンターだ。隙がない。
「おっ、やっとそれっぽいのがきたな。あとお前、妹とどんな関係だ?」
いきなり殺気が飛んできているが、なんの事かわからない。
「試験前にヒーラーと話していただろ。あれは俺の妹だ。ちょっかい出すやつは許さん!」
盛大な勘違いをしているが、話しを聞いてくれそうにない。
バックステップで躱すが追撃がくる。
盾で受けつつ反撃の機会を伺う。
相手の攻撃にタイミングを合わせ盾で弾く。
その隙を狙い剣を振るう。
しかし防御される。
一進一退の攻防を繰り返し、試験官の攻撃をまた盾で受け止める。
「ほう?今のを凌ぐか。ただのE級じゃないな!じゃあこれはどうだ?」
そんなことを試験官は言う。
試験官は居合切りのような姿勢から、ソードスラッシュと叫ぶと風の刃が飛んできた。
俺は咄嗟にファイヤーボールを唱えた。
ファイヤーボールは風の刃を飲み込み、試験官に当たった。
「合格だ」
試験官は言った。
「まさかあれを防がれて、一撃貰うとはな」
試験官は驚いた表情で言う。
「いや、俺も風の刃が飛んできた時は驚きましたよ」
正直な感想を言った。
そこへひなたさんがやってきた。
「ちょっと、兄さん!!E級ハンターにやりすぎでしょ!!それになんでお兄ちゃんを治療しないといけないの」
少し怒り気味に言う。
「ははっ、すまんすまん!
ひなたの気になるヤツがどんなかなと思ったら意外と強くて試してしまった」
「九条くんとはさっき初めて話したんだから。か、勘違いよ」
この後、八木さん(総一郎さん)から謝られた。
ひとまず試験は合格でD級にあがることができた。
今回の試験では俺を含め3名が合格した。
D級から協会が管理しているダンジョンでの依頼を受けることができる。
時期を見て受けてみるかな。
帰り際にひなたさんから先程のことを謝罪され、ついでに連絡先を交換したいと言われたので交換した。
ハンターの知り合いが増えるのは良いことだな。
ひなたさんと少し話をしてその場をあとにした。
協会のビルから出ると、スーツ姿の男性に話しかけられた。
「九条さんですよね?少しお時間よろしいですか?」
最近色んな人から声を掛けられるなと思いながら、面倒事じゃないことを祈った。
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