第72話 新年

 新年が明け、成人式が行われる。


 ライズギルドのメンバーにも新成人がいる。


 ヒデキ、小倉さん、双葉さん、高槻さん、ゆうりさん、小鳥遊さん、山川さんの7人だ。


 成人式会場に行く前に、ギルドホームへ集まっていた。


 亜希さんや天霧くんも新成人を祝いに集まっていた。


 女性陣の振袖姿はとても綺麗だった。


 双葉さんは青色を基調とし、花が綺麗に彩られており、とても似合っていた。


「双葉さん、振袖似合っているね」


「ありがとう、九条くんに見てもらいたかったの」


 そう言い双葉さんは微笑む。


 そうしていると高槻さんに服の袖を引かれる。


「私は?」


 高槻さんは淡い水色でこちらも花が綺麗に彩られており、高槻さんのイメージにピッタリだった。


「高槻さんも凄い似合ってるよ」


「うん、ありがとう」

 高槻さんは少し俯きながら答える。


 ヒデキは煌びやかなスーツをパリッと着こなしていて、とても格好良い。


「ヒデキはいつも格好良いね」


「レンに言われるのは悪くないね、ありがとう」


 その後も皆と話しをしていると、カメラマンが到着した。


 折角の日なので、カメラマンを呼んで皆の写真を撮ることにしていた。


 何人かからは一緒に撮ろうと言われ、俺も写った。


 こんなことなら、ちゃんとした格好をしてくるんだった。


 式の時間が迫ってきたので、みんな車で移動していく。


 皆の晴れ着をみることができて、良かった。


「みんな綺麗だったなぁ」


 亜希さんが呟く。


 亜希さんの振袖姿は綺麗だろうなぁ。


「来年の亜希さんの振袖姿が楽しみだね」


「もう、何言ってるのよ」


 亜希さんはそう言いつつ、微笑んだ。


 来年は自分があんな感じになるんだなぁ。


 ○


 成人式の次の日、俺は新年ということでお世話になっている方への挨拶回りを行った。


 役所、雷光放送などに伺い、挨拶をする。


 最後にハンター協会へ向かうかな。


 受付で話しをし、応接室へ通される。


 少しして早乙女さおとめさんが挨拶をしながら入ってくる。


「そういえば連絡言っていないかもしれないが、今日から私が正式に支部長に就任するすととなったからよろしく頼むよ」


「そうなんですね、おめでとうございます」


 そうか、早乙女さんが支部長か。


 妨害行為とか増えてくるかもな。


 ただ今のライズギルドは前とは規模が違う。


 何かされたらこちらとしても、黙ってやられる訳にはいかない。


「ライズギルドはどんどん成長していっていますね。今後も良い関係を続けていきましょう」


 こう言っている人が裏で妨害行為を指示してるんだからなぁ。


「そうですね。では、これで失礼しますね」


 俺は部屋を出て、俺は支部長よりも今後スカウトする予定の事務職の人達に挨拶しにいく。


 数人に挨拶できたので、ライズギルドのギルドホームへ帰る。


 ○


 最近ダンジョン探索できていなかったので、久々にライズダンジョンに潜ろうと思う。


 準備をしていたら、高槻さんから声をかけられる。


「私も良い?」


「もちろん、良いよ」


 俺たちは2人でダンジョンに潜ることにした。


 低階層で動きを確かめつつ、モンスターを倒していく。


 久々に高槻さんとダンジョンに潜って思ったのが、やはりやりやすいことだ。


 高槻さんは俺の動きにタイミングをピッタリ合わせてくれる。


 最近はスレイヤーズギルドの人達と潜ることが多く、なかなかスムーズにはいかないことが多い。


 この探索は心地よいな。俺たちは1時間ほど探索をして地上へ戻る。


 そして、模擬戦が始まる。


 高槻さんと剣を交えると、感覚が少し鈍っていることがわかる。


 定期的にライズギルドのメンバーと模擬戦をした方が良いかもな。


 なるべく時間を作るようにしよう。


「高槻さん、ありがとうね」


「かれんって呼んで」

 唐突にそう言われ、少し驚いた。


「他の女の子は名前で呼ばれてるから」


「かれんさん」


 俺が名前を呼ぶと、かれんさんは顔を赤くさせ、そそくさとギルドホームに入っていった。


 この日常を守れるように、今年は昨年以上に頑張るぞ。

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