第89話 探索 ライズダンジョン 深層

 俺は久々にライズダンジョンの深層を探索することにした。


 土日で探索するため、普段探索している社会人メンバーは休日とし、学生メンバーが主体で深層に挑む。


 社会人メンバーはもうかなり探索しており、地下18階まで探索済みだ。


 少しでもそこに追いつきたい気持ちだ。


 メンバーは俺、ひなたさん、瑠衣さん、小鳥遊さん、天霧くん、あとは一緒に行くと言って聞かなかった、かれんさんの6人だ。


 いつも通り、低階層はスルーしていく。


 道中は9月に行われる高校生ハンター競技会のことが話題となる。


「遂に僕もハンター競技会に挑戦できると思うと、楽しみでしょうがないですね」


「天霧くんもかなりいいとこまでいけるはずだよ。頑張ろうね」


「はい、少しでも九条先輩に近づけるように頑張ります」


 天霧くんはまだハンターランクこそD級だが、実力はC級クラスだ。

 ハンター協会の依頼をあまり受けておらず、自ずとメンバーのハンターランクは停滞してしまっている。

 メンバーには申し訳ないと思いつつ、状況的にどうしようもなく、そのままになっている。


 10階層までやってきた。

 ここからはオーガが出てくる。このメンバーならかなりの数が出ても対処出来る。


 少し先にオーガの気配がある。


「少し先にオーガがいるから、気をつけて」


 俺がそう言うと、ひなたさんが防御力アップの補助魔法を全体にかける。


 かれんさんと天霧くんがオーガに近づいていく。先制攻撃で2人の剣がオーガを切り裂いた。この一撃でオーガは絶命した。


 その後もオーガを倒していき、気付けばこの階のオーガをほぼ倒し切っていた。

 かれんさんと天霧くんで殆ど倒していた。


 俺たちは次の階へ向かう。

 この階はレッドウルフとロックドラゴンが生息するエリアだ。


 ロックドラゴンもこのままの勢いで倒せたら相当皆レベルが上がっていることになる。


 俺たちはひとまず隙を伺う周りのレッドウルフを牽制しつつ、開けた場所まで移動する。


 レッドウルフが四方から接近し、攻撃してくるため後衛のひなたさんと小鳥遊さんをしっかり守りつつ反撃していく。


 瑠衣さんが水魔法を使い、水の塊をレッドウルフに放つ。

 レッドウルフに直撃し、水の重量でレッドウルフが潰れて絶命した。


 水魔法も重量が増えると強力だな。

 瑠衣さんは剣の扱いも1級品でレッドウルフを剣術で葬っていく。


 水魔法の使い手が入ってくれて、また攻撃の幅が広がるな。


 あらかたレッドウルフを倒したところで、この階の番人であるロックドラゴンを倒しに行こう。


 俺たちは岩場を進み開けた場所を目指す。


 どこにいるかな?


 いつもなら鳴き声がガンガン聞こえてくるだけどな。


 いつもの岩場にロックドラゴンがいた。

 いつもと違うのは寝ているということだ。


 俺たちは先制攻撃を仕掛けることにした。

 俺に少し試してみたいことがある。


 俺は瑠衣さんとかれんさん、小鳥遊さんに相談する。


「なるほど、その考えは無かった。蓮くん凄い」

 かれんさんは褒めてくれる。


「水魔法を媒介にして氷と雷を掛け合わせれないか?ってことね。面白いわね。湯神教授が飛びつくテーマよ」

 瑠衣さんが呟く。


「やってみましょうよ。それで雷魔法が効くようになるなら嬉しいわ」

 小鳥遊さんも賛同してくれる。


「じゃあ、早速いきますか」


 まずは通常の威力が知りたいので各々が単独で魔法を放つ。


 やはり雷は効かず、氷と水は威力が大きいようだ。


 次は水魔法を媒介にして氷魔法を放っていく。


 瑠衣さんがロックドラゴンに巨大な水の塊を放つと同時に、かれんさんが氷魔法を唱え、その水を巨大な氷の塊へ変える。


 かなりの速度で氷の巨大な塊がロックドラゴンを襲う。ロックドラゴンはかなりのダメージを受けたようだ。


 かれんさんに聞くと、あのサイズを作り出すとかなり魔力を消費するけど、今回は水がそこにあったからあまり魔力を消費しなかったようだ。威力は十分だった。


 雷も試す。瑠衣さんが水魔法を放つと、水のシャワーがロックドラゴンに向かっていき、ロックドラゴンは水に濡れた状態になる。

 そこへ小鳥遊さんの雷魔法が炸裂すると、こちらもかなりのダメージが入ったようだ。


 魔法の掛け合わせは、組み合わせ次第で威力が変わることがわかった。


 試したいことは試せたので、そのあとは皆で攻撃していき、ロックドラゴンを倒した。


 素材を採り、少し休憩することにした。


 魔法の掛け合わせについて、湯神教授に少し相談してみようかな。

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